2021年4月14日水曜日

異物自慢

東洋Drが常勤医となってくれて非常に助かっている。外科医なのだが内視鏡検査施行や一般内科も診てくれる。今日は少し時間があったのでこれまで経験した内視鏡などの話題になった。

その中で消化管内に異物が入って難渋したケースがあった。間違って飲み込んだもの、心が弱くなり自分を痛めつけたいという衝動で入れ込んだもの、ある性的嗜好で入れてしまい取れなくなったものなどなどだ。

青雲会病院は近くに精神専門の愛乱病院があるためその手の症例には事欠かない。歯ブラシ、乾電池、薬品シート、スポンジなどすぐに思い出す。性的嗜好系では日記ネタにもなった透明キャップや風船などもありその取り出すシーンなども見せた(2017年1月25日「お腹に風船」→https://koteru-nikki-2015.blogspot.com/2017/01/blog-post_25.html)。

そうすると東洋先生、「私の場合、某牧場のヨーグルトの瓶が直腸にハマって取れなくなったケースがあります」という。うわっ、これを聞いて怖いと思ったのは、今から35年ほども前に鹿児島の大腸専門病院でワンカップ大関の瓶が直腸にハマって結局は手術になりかわいそうなことに人工肛門になったというケースだ。患者さんは「間違って座ったらハマった」と必ず言うのだがそんなわけがあるはずない。風船しかりヨーグルト瓶しかりワンカップ大関しかり、肛門摩擦による性的嗜好の危ない顛末なのだ。35年前の発表ではソフトボールがハマったケースも報告されていた。東洋Drによると整形外科Drを呼んで瓶の底を金属カッターのような器械でくり抜きそこから内視鏡を入れてどうにか取り出せたという。そうかそりゃ良かった。

でも数ある内視鏡の異物摘出でも東洋Drの経験した「針千本」ならぬ「釘千本」には驚いた。お腹の具合が悪いと外来に来た某男性は確か精神科に通っていたらしい。しかしレントゲンを撮ってみるまで胃の中に五寸釘を何百本も飲み込んでいたとは誰が想像出来ようか。驚いた東洋Drはもう一人の内視鏡医と協力してスコープの先端に磁石を取り付け、咽頭はオーバーチューブを入れ1本1本何度も何度も入れては取り出したそうだ。入れて取り始めてから4時間近くは経ったという。なんとも気の遠くなるような作業よ。鉄製の釘はまだしもステンレス製の釘はうまく取り出せなかったという。あはー、磁石じゃなくてその場合バスケット鉗子か胆石砕石用の鉗子が役に立つけどな。ま、それはいいとして、疲れ果てた二人は全てを取るのは諦めたそうだ。調べると取り出した釘は全部で600本ほどになったという。
そしてそ本人自宅が下水道ではなくボットン便所なのを確かめ、「残りはもう排便といっしょに出してもらうしかない」となったそうだ。取り出せなかった釘はまあ残り400本もはなかったろうが、切りがいいので「釘千本」のケースと称し、実際に学会発表もしたらしい。

いやはや、飲む方も飲む方、取る方も取る方、さすがに参りました、ハイ。

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