2021年12月16日木曜日

大腸憩室出血源また発見!その秘訣は?

一昨日入院していた大腸憩室出血の80代の男性患者が未明にまた下血したとの情報が入った。担当は東洋Drで「どうしたものか」との相談に「下血したその日がチャンスなんですよ。今日ぜひ再検しましょう」と三度目の大腸内視鏡を提案した。昨日の女性のように一発で出血源が判明するケースは稀だが、下血した日に検査をすると発見率が50%くらいまで上がる印象があり「ここはぜひ」と勧めたのだ。それにこの患者さん、2年前にも下血で入院しクニンダDrが担当したが結局出血源を見つけられないままだった。ここが踏ん張りどころよー。

夕方最後に検査をすると、前処置ですでに血液はほとんど残っておらず、出血源を探すのはまた難しそうだった。一度見ても血液付着が無く、引き抜いて横行結腸まで来たところでまた上行結腸へ挿入しなおした。一昨日の血液付着のパターンから出血源は上行結腸にないといけないはず。するとー。

「あったー!」発見だ。昨日の女性と偶然ほぼ同じような部位にあって、やはり凝血が溜まっていて、洗浄すると露出血管が確認できた。「オッケー、これで止血出来る」やり取りを聞いていた患者さんも「うわー良かったぁ」と2年越しの思いが吐露されていた。


いやはや、こうして2日続いてネタにするほどうれしい。この後すぐに今日と同じ処置をして病棟に帰ってもらった。都合3回目での内視鏡での出血源発見はまあ平均的な回数だ。後で東洋Drは「私にはこてる先生のようなマネはできない」とつぶやいていたらしい。それは1回目かせいぜい2回目で探索はあきらめるからという意味だ。去年亡くなったピッピDrも同じようなことを言っていた。みんなあきらめが早いなー。

私は数年前の学会(DDW)で出血源発見率の高い施設の発表者に「なんでそんなに発見出来るのか」と質問したことがある。何か秘策でもあるのかと思ったが、「どうしても見つけてやるという根性だ」みたいな返事だった。それを聞いて我が意を得たり。私もそう思っているからだ。絶対見つけてやるーという熱意が発見率を上げるのだ。これまで5回までは検査したことがある。それでようやく見つけたこともあった。諸事情が許せば6回目さえとも思うが、さすがにその頃になると患者さんやスタッフも(私も)根を上げてしまう。まあ仕方ない。5回目までには見つけてあげるからみんなガマンしてなー。

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