2021年6月24日木曜日

ギザ10から知る

コスモスで買い物をして支払いの際、財布にいわゆる「ギザ10(じゅう)」を見つけた。「ほう、懐かしい」。ギザ10とはずっと昔に作られていた10円玉で、調べると昭和26年から昭和33年まで造られ、硬貨の側面がギザギザに加工されているのが特徴だ。ちょうど私が生まれる直前まで造られていたことになる。以前は格段珍しいものではなくちょくちょく見かけていたが久しぶりだった。若干薄くて触っただけで側面を見なくてもギザ10と分かる。昭和29年製のものだった。

この硬貨、あっち行ってこっち行ってあの人に渡されこの人に使われ、65年以上も世間の荒波に揉まれてきたのか。なんだか愛おしくなり、使わずに持って帰った。

昔「一円玉の旅がらす(歌:晴山さおり)」って歌が流行ったがそれを思い出した。その歌は消費税が初めて導入された平成元年の翌年に発表され、3%分の支払いが増え、1円玉が必要になった時期と重なる。10円玉でいえば昭和29年は今よりもずっと価値があったろうな。そうだ、このギザ10、今じゃちょっと珍しいから少しばかり値がするのかな?ネットで調べてみると、昭和29年発行の10円玉は5億2,090万枚も出ていてさすがに値はほとんど付かないようだ。せいぜい11円くらい。ただし未使用品だと1万8千円もするそうだ。だがピカピカの未使用品なんてそれは特殊なもので普通に生活していたらまず手に入ることはない。

帰って、カールに「ほらギザ10だよ」と見せたが、見てもきょとんとして「なに?ギザ10って」と聞き返された。「古い10円玉だよ、昔よく見ただろ」と言うと「いいや、見たことない、初めて」と。そんな馬鹿なーと思ったが、「私、沖縄だから」と言われて、ハッとした。昭和47年に本土復帰するまで沖縄ではドルやセント硬貨が使われていたんだ。

硬貨一つで戦後の日本社会の変遷に気がつく1日だった。

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