で、見終わったのだが、実にいい映画だった。予算をかけていないのは出てくる俳優女優がほとんど誰も知らないこと、場面がほとんど東映京都撮影所とその周辺で展開されることなどでそうと知れるが、そんなに安っぽく見えなかっった。それはNHKの「アナザーストーリーズ」でもこの作品が取り上げられ、それによると、東映京都側がこの脚本に感銘を受け、セット、衣装、小道具など全面協力をしてくれた上に、制作費2600万円も監督の安田淳一が自身の車を売ったりするなどしてどうにかかき集め、製作期間も1年半もかかり細部にこだわって完成にこぎ着けたからだ。
30年40年前の時代劇が隆盛だったころに比べ、地上波でのレギュラー番組も消失し、その存続すら危ぶまれる時代劇というジャンルに、江戸末期から偶然現代の時代劇撮影所にタイムスリップしてきた主人公が斬られ役という仕事に生きがいを見つけていくというストーリーなのだが、時代劇愛が加味され、単なるコメディー映画ではないものがあった。そしてラストシーンのチャンバラの素晴らしさ!真剣を使って演技をするという主人公と相手役の侍役の対決はまさに息を呑む緊張感で、あの黒沢明の名作「椿三十郎」のラストの対決シーンと並ぶ名シーンだと思った。おかしみ、人間味、侍の矜持、そして時代劇への愛情が基調となっていい味出しているいい映画だった。Amazon Prime加入者はタダで、UーNEXTでは課金が必要だが、多くの人にお勧めの映画だ。
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