大腸内視鏡の某高齢男性患者さん、先日の診察の段階で予想した所見がまさにそのとおりだった。本人に「きっと直腸の粘膜にある毛細血管が微出血していますよ、放射線直腸炎による出血と思います」と語ったのが当たったわけだ。で、例によってアルゴンガスの照射で止血処置を施してあげた。
この患者さんは2年くらい前に前立腺癌の陽子線治療を受けていた。で、1年くらい前から排便に出血がみられるようなったという。もう一つ、陽子線治療以前に当院で大腸内視鏡を受けていてその時の所見では直腸は正常だったことも私の予想が当たった要因であった。
前立腺癌を放射線もしくは陽子線で治療される方が最近は多い。指宿に陽子線治療の施設があることも影響している。だがその治療の合併症というか術後障害の中にこの直腸出血がよくあるのだ。前立腺は直腸のすぐ近くに位置しているため照射が直腸粘膜にもどうしても影響を与えてしまう。新生の毛細血管が出てきてこれが刺激に弱い。接触出血をしやすく、排便のたびに微出血をし、人によっては貧血がひどくなることもある。今回の患者さんは貧血はなかったが毎回下血を見るのは気分がよくない。そこでアルゴンプラズマ止血(APC)を行った。おそらく今日から排便時出血はなくなるだろう。
この疾患もここ1年で数回、日記で取り上げた。2024年2月26日「出血性放射線直腸炎」https://koteru-nikki-2015.blogspot.com/2024/02/blog-post_26.html、2024年8月20日「放射線治療後の下血で悩んでいるなら」https://koteru-nikki-2015.blogspot.com/2024/08/blog-post_20.html、2025年2月17日「下血で腹痛あるなし、どっちが重症か」https://koteru-nikki-2015.blogspot.com/2025/02/blog-post_17.htmlとあって今回で4回目だ。それだけ多く目にする疾患なんだ。今回は画像は載せないが過去3回の画像を参考にしてちょ。「高齢男性」「下血」「前立腺」この3つのキーワードがあれば「出血性放射線直腸炎」と連想してもまず間違いないってことー。
今日のイラスト化は「次の写真を『あしたのジョー』風にしてほしい」だった。だが、これが大失敗。下手くそな鉛筆画のようになってしまった。そしてどこにもあしたのジョーらしさもない。私は老けすぎていて、さらに女の子らの目が怖い。
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