見れば相当金を掛けていることがすぐに分かる。ロケはカナダのバンクーバーに巨費を投じて城の内部や村のセットを建設し約10ヶ月に渡って撮影されたという。主人公は本来は三浦按針をモデルにしたイギリス人ジョン・ブラックソーンなんだろうが、徳川家康がモデルの吉井虎永に扮する真田広之が重厚な演技で場面場面を引き締めているので主演賞を取ったのだろう。細川ガラシャがモデルの戸田鞠子役を英語が堪能なアンナ・サワイ=澤井杏奈が演じブラックソーンの通訳としてほぼ出ずっぱりだ。彼女はゴールデングローブ賞で
登場人物が9割以上が日本人で話される言語も7割以上が日本語だ。知らなければ日本製作のドラマと思っても不思議はない。舞台は太閤秀吉が亡くなって石田三成(ドラマでは石堂和成)が中心になって大坂城(大阪城)で権勢を振るうも徳川家康(ドラマでは吉井虎永)が対抗し不穏な情勢ということで、本来ならNHKが1年間大河ドラマで描いてもおかしくない内容だ。登場人物の名前が全て別名になっているので私はWikipediaにあるSHOGUN将軍で毎回名前を比較しながら見ている。史実に近いエピソードもあれば全く創作としか思えないものあるが、役者の所作、衣装、メーク、背景の美術制作など日本の東映京都撮影所が担当しているためほとんど違和感がない。製作も担当した真田広之の執念が感じられ、それが欧米人にも伝わったということだ。全10話で1話あたり10億円を超える制作費を投じて作られておりさすがにこれはNHKや日本の映画界では作れないか。
「SHOGUN将軍」は戦国武将の物語ではあるけれど当時の武家の女性の活躍も相当な比重を占めている。通訳が絶妙な鞠子様はもちろん、夫と子どもを殺されブラックソーンの正室にさせられる藤様も誇りを失わず凜とした演技で好評を博したり、遊女であるお菊も第6話で茶屋でのブラックソーンと鞠子の間に立ち通訳する鞠子の気持ちを代弁するような演技、演出には唸った。後半からは淀殿がモデルの落ち葉の方を二階堂ふみが出てきて武将たちに負けないまなざしでさすがと思わせた。カールはすでに見終わっていて「日本人の私ならまあ分かっていても、首が跳ねられたり簡単に切腹するシーンが多く、外国の人たちは日本人ってこんなことで簡単に死ななくてはならないのかと誤解されそう」といった感想だった。確かに首や胴体、手足が真っ二つに裂かれたりするなど子どもにはどうかと思われるシーンも多い。そのあたりは大河ドラマでは表現出来ないな。
ともかくも重厚、荘厳かつ面白いドラマであることは間違いない。Disney+でしか見られないのが最大の欠点かな。まあ990円で1ヶ月以内で視聴するという条件さえ飲めば楽しめるからその気になればたやすい。お勧めのドラマだ。
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