昔、星新一の本で「進化した猿たち」というアメリカン一コママンガの解説エッセイ本があった。彼はその収集家でもあった。また40年ほど前はアメリカの有名雑誌「リーダーズ・ダイジェスト」を取っていてその中にもジョークや一コママンガが掲載されていた。その中で思い出すのが、自宅前で御婦人が連れてきた友人に一言忠告よという感じでこう言う。「いい、ネコの話だけは絶対にしちゃダメよ」というものだ。これだけでは何のことか分からないだろう。一瞬、私も分からず、確か側にいたフサンコ従兄に尋ねてみた。彼はすぐに分かったようで「ほら、玄関の門の横に大きなネコの銅像が置かれているだろう、そこまでするということは、夫が大のネコ好きで、話し始めたら止まらなくなるからだよ」と言われ、なるほどと納得した。
実はこの一コママンガを思い出したのは、今日カールが山梨の友人宅をその友人といっしょに訪れた時のエピソードを話したからだ。その友人がカールにこれだけはと念を押したのが「いい、お祖父ちゃんに武田信玄の話だけは絶対にしちゃダメよ」というものだった。ハハハ、真っ先に私がアメリカ一コママンガを思い出したのも肯けるでしょう。明治生まれのいいお祖父さんだったそうだが、こと武田信玄を語らせたら止まらなくなるんだそうで、それだけは勘弁をと家族の話だった。
それに山梨って「なんでも武田信玄」だ。山梨名物のことを調べると「その起源は武田信玄にまでさかのぼる」とか「武田信玄が始めたものだそう」なんて記述がどこそこ出てくる。山梨の名物料理「ほうとう」もそうだと出てくる。
そう、今日はカールが「友人の小真美のお母さんはとっても料理が上手で『ほうとう』も絶品だった」と言うから、私は「ほうとう」って?と尋ねたのだ。鍋料理の一種でカボチャが必ず入っているという。甲州人には「うまいもんだよ、カボチャのほうとう」という地口(ぢぐち)言葉があって、おいしいという意味と首尾よく運んだ結果を掛けて、「やったね」という場面で使うせりふらしい。それはともかく一度食べてみたいものだ。カールに「ほうとうって作れる?」「いいやできないわ。でも小真美のお母さんに習った茶碗蒸しはほら、しよっちゅう出てくるでしょ」だと。そうか、うちの茶碗蒸しは山梨の母の味か。うん、美味しいよ。また作ってねー。
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