2019年5月16日木曜日

「港町ブルース」

昨日の夜くらいからチト風邪気味で、今日になってだるさと鼻水と咳が少々出てきて本格的な風邪になった。内視鏡室でつぶやくと「床で寝ているんでしょ、だからですよ」と佳及主任に言われてもうた。確かにその通りでそれを由香寝と私は称し、「決して由香と寝ているわけではないよ」と付け足すのがお決まりだ。その他にも椅子寝、ソファ寝など普通の布団寝は月に半分もない。「いや、今週始めに診察した患者さんからうつされたんだ」と言い訳したが、かの忠告は甘んじて受けねばなるまい。実は、この日から体調不良は1週間も続き、今現在(6日後の5月22日)も鼻声でだるさが残っているのである。

鼻声で連想した。人にはそれぞれ鼻歌ってのがあるんじゃない。私はよく鼻歌を歌う方だ。だが聴かされる側はいい迷惑のようで洋楽や今風の曲を歌っても「演歌みたい」なんて揶揄される。また私の鼻歌は「お経」にも間違われるそうだ(2015年6月4日「王将」と「お経」https://koteru-nikki-2015.blogspot.com/2015/06/blog-post_4.html)そんな鼻歌の中で小学4年生以来のが森進一の大ヒット曲「港町ブルース」だ。歌詞のうち1番と最後の6番は今でもソラで歌える。曲調もだが歌詞が公募のものをなかにし礼が選び、補作詞したものでなかなかに凄いんだ。

背伸びして見る 海峡を
今日も汽笛が遠ざかる
あなたにあげた 夜を返して
港、港 函館 通り雨

小学生の身で「あなたにあげた 夜を返して」なんてよく分かっていなかったが七五調の歌詞も相まってしっかり歌っていた。

2番で東北三陸海岸の港町が出てくる。いずれも先の東日本大震災で大惨事となり、その年森進一は久しぶり(42年ぶり)にこの歌を紅白で歌った。

流す涙で 割る酒は
だました男の 味がする
あなたの影を ひきずりながら
港、宮古 釜石 気仙沼


私の頭の中では「宮古」と来れば反射的に「釜石、気仙沼」と言葉が出てくる。そして「流す涙で割る酒はだました男の味がする」というフレーズも忘れられない。これもよく意味は分からなかったが。

出船 入船 別れ船
あなた乗せない 帰り船
うしろ姿も 他人のそら似
港、三崎 焼津に 御前崎


ここの歌詞は出だしの「船」の羅列だ。リズム感がいい。

別れりゃ三月 待ちわびる
女心の やるせなさ
明日はいらない 今夜が欲しい
港、高知 高松 八幡浜

ここはなんといっても「明日はいらない 今夜が欲しい」だ。強烈にして哀感が漂う。「八幡浜」は正しくは「やわたはま」だが、森進一は今でも「やはたはま」と歌っている。

呼んでとどかぬ 人の名を 
こぼれた酒と 指で書く
海に涙の ああ愚痴ばかり 
港、別府 長崎 枕崎 

ここは「こぼれた酒と指で書く」だな。2番の歌詞とリンクしている。それと「別府、長崎、枕崎」の語感が良くてついつい日常でも出て来てしまう。「崎」で続けて韻を踏むのもいい。ただ、食べ過ぎて思わずげっぷした時に「げっぷ、ながさき、まくらざき」と地口言葉のように言う癖がついてしまった。

女心の 残り火は
燃えて身をやく 桜島 
ここは鹿児島 旅路の果てか
港、港町ブルースよ

こども心に森進一の出身地を最後にもってきたのは分かる。それと歌詞の通り、当時はまだ沖縄が返還されていなくて鹿児島県が日本最南の地であった。森最大のヒット曲でありながら彼が長らく紅白で歌わなかったのはなぜかよく分からない。震災がなければヒットしたその年だけに終わっていたのかも。↓は貴重な昭和44年紅白のトリを務めたときの映像だ。https://www.youtube.com/watch?v=H0-OKXjbNXs

この歌に出てくる味のある、いやありすぎるフレーズは50年経った今でも私に影響を及ぼしているのだ。

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