2021年10月27日水曜日

カワセミ「愛の不時着」

昼前だったか、外来で患者さんの案内や問診をメインにしてくれているベテランナースのブルゾンNsがスマホ片手に「今日はちょっと良いことしました」と話しかけてきた。「朝一のことですけど青い鳥を助けたんです」と。青い鳥?私はすぐにカワセミのことかなと思ったが見せられた画像を見ると、はたしてそうだった。


「これ、カワセミって言うんですってね」とブルゾンさんは知らなかったようだ。「まさにカワセミ、野鳥の中では一番人気と言っていいくらいバードウォッチング界では有名な鳥だよ」

最初、ブルゾンNsは玄関横の窓にいる老ご夫婦のうち夫がかがみ込んだのを見て「あら具合でも悪いのかしら」とすぐに玄関外に駆け寄った。しかし夫は具合が悪かったのではなく、「今、この鳥が窓にぶつかってへたり込んでいるのでしゃがんで見ているんですよ」と青い鳥を指さした。実はもう1羽同じ青い羽根の鳥がやって来ていて、具合の悪いもう1羽を心配そうに見つめていたのだった(上写真)。ぶつかったと思われる鳥は首をきょろきょろとし挙動不審でいかにも具合が悪そうだったので、ブルゾンNsは段ボール箱を取り寄せるように頼み、念のためとスマホで写真を撮った。そして両手で抱きかかえそっと段ボールに入れてガーゼでくるんであげ、近くの薬局で保護することにした。↓その時の様子を再現してもらった。
↓段ボール箱の中の青い鳥

驚いたことにもう1羽の鳥も逃げずにブルゾンNsに抱かれてそのまま箱に入ったのだそうだ。そして箱の中で相手をじっと見つめていたと。全くの野鳥なのにそんなことある?思うにこの2羽はつがいだったのではないか。ネットで調べるとカワセミは普段は単独行動をする鳥らしい。しかし繁殖期はそうでもないとのことだ。雌雄の区別はくちばしが全部黒色なのがオスでくちばし下方がやや赤みがかったのがメスらしい。するとへたりこんだ方が明らかにメスと分かる。オスはメスのそばを離れようとはしなかったのだ。

カワセミの2羽は薬局では箱の中でおとなしくしていた。しかし30分もすると元気なオスの方が室内を飛び回り始めた。そこで薬剤師が網にいれてオスと思われる方を逃がすことにした。その間、ネットで鳥の脳しんとうの処置を調べていたブルゾンNsは自分のやった処置が概ね正しかったことを確かめていた。小1時間もすると元気のなかったメスも羽ばたこうとしたので玄関から外へ連れて行き外に飛び立つまで見届けたという。飛ぶ瞬間はうれしかったとブルゾンNsは言い、病院の患者さんも「ここは人だけではなくて鳥もたすけるんだねえ」と感心していたそうな。

ともかくも不時着して下手すれば命に関わるところを優しい病院の看護師さんに助けられ無事で良かった。しかし鳥にもつがいの相手を思いやる愛情があることが分かって感心するやらだった。↓はネットで拾ってきた川で捕食するカワセミの様子(これはメスだな)。見事なシーンだね。青雲会病院の目の前には思川がある。午後にはきっとこのようにお魚さんを獲っていたことだろう。

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