朝礼で「ワクチンの話」と題して朝礼で職員に約20分講話をした。いつもはスピーチと言っているが、今回は講話そのもので、内容はワクチンに対する誤解偏見をなくすこととHPVワクチン接種を職員の娘さんたちに促すことである。こてる日記を読んでいる人ならどのような内容かだいたい分かるだろう。
またいつもの笑わすやり方も最低限に抑えた。せいぜい一昨日のくっつく磁石と名古屋の河村市長が金メダルを噛むシーンを加えたくらい。なぜに河村市長?かというのはスライドでは説明した。河村市長はHPVワクチン被害者の会からHPVワクチンと有害事象の関連性を調査してもらえないかと打診され「よしうちがやったる」てな具合で名古屋市内の中高校生の女子7万人にアンケートを送りそのうち約3万人からデータが集まった。接種後に起こるとされた24の症状の発症や通院、頻度、学校の出席への影響などを調査したもので「名古屋スタディ」と呼ばれている。このスタディは研究担当者である名古屋市立大学大学院医学研究科の鈴木貞夫教授らが中心になって行いデータの取り扱いなど分析疫学の手法を用い非常に信頼性がおけるものだった。
で、結果はどうだったのか。それが驚くべきことに(河村市長や被害者の会にとってだが)全く有害事象の増加はないどころかワクチン接種した人のほうが症状発現はわずかに少ないくらいという真逆の結果が出たのだった。HPVワクチン接種後の24の症状のいずれに対しても、顕著な増加は見られず、例えば、「異常月経出血量」(OR:1.43,95%CI:1.13-1.82)、「不規則な月経」(OR:1.29,95%CI:1.12- 1.49)、「重度の頭痛」(OR:1.19,95%CI:1.02-1.39)、慢性の「月経出血異常」(OR:1.41,95%CI:1.11-1.79)という結果で、また学校の出席に大きな影響を与えた症状はなく、症状の蓄積も認められなかったというのである。この結果から当然、HPVワクチンと有害事象として報告された症状との因果関係がなかったと報告されたのであった。
会見の席で河村市長の発言はかなり歯切れが悪いものだったという。そして被害者の会は「明らかに不自然な結果で、被害者実態をとらえる解析はなされていない」などとイチャンもんを付けたがその後さらに詳しい解析がなされるも結果は変わらなかった。そしてこの重大な事実を大手マスコミはほとんど無視したのだった。さすがに河村市長もその点にはご不満だったようで「だから、そういうことを名古屋でやったことが、何で全国ニュースにならんのか、 よくわからんですわ」と悔しがったそうだ。そこを私はスピーチで「動機はどうあれ、被害者の会のいうワクチンによる副作用問題は実際は関係なかったことをしっかり示したことは評価出来て、私は河村市長には金メダルを上げたい」と↓の写真付きでしゃべったのだった。
ただ、この後がいまいちよろしくなかった。名古屋市はこのスタディを解釈つきの資料ではなく生データを示しただけで積極的にアピールすることなく放置したのである。そしてきちんと論文にしたいという鈴木教授の要請も最初は難色を示したらしい。だが2016年7月ごろには河村市長みずから「先生、論文書いてくださいよ」といわれたそうで、2018年2月23日、無事論文として公表されたという。いったい大手マスコミや被害者の会は何なんだろう。科学的な裏付けのあるデータを無視し、自分たちの思い込みにそぐわないものは無視か反発する。こんなのがまかり通っていいはずがない。
私は某K国が言いがかりに近いイチャもんを付け日本を落とし込めようとしているのが大嫌いであるが、HPVワクチンにおける日本のこのような状態は他国からバカにされても仕方ないとさえ思う。世界が当然黙っているはずがない。保健界の大御所WHOは名古屋スタディの速報3日後にはそれも参考にし「専門家の副作用検討員会は子宮頸がんワクチンと副反応との因果関係はないとの結論を出したにもかかわらず、国は接種の積極的勧奨の差し止めをしたままで事実上接種再開できないでいる。以前からGACVS(=WHOのワクチンの安全に関する諮問委員会の略)が指摘しているとおり、希薄なエビデンスに基づく政治判断は、安全で効果のあるワクチンの接種を妨げ、真の被害をもたらす可能性がある」と日本一国を名指しで批判したのだ。ここまで言われて大手マスゴミはまだ態度を変えないのか。WHOが何か言っているよぐらいに思っているの?あきれるわ。
HPVワクチン問題はワクチン接種しなくてもしても起こりえた(2016年の厚労省疫学調査でもそれは証明された)少女たちの症状をたまたま同時期に接種したワクチンのせいだと考えたことと、ワクチン被害者(実際にはほとんどいないと名古屋スタディで証明された)は弱者として寄り添うべきという姿勢にこだわったなれの果てである。朝日新聞は特にその傾向が強く「弱者(この場合はワクチン被害と思われた少女たち)には味方すべき」という編集方針のようだ。権力の間違った仕業(HPVワクチン)で被害を被った弱者(被害と思われる少女)であると思い込んでしまっているからなかなか是正が出来ない。客観的なデータがあり名古屋スタディ以外にもフランスの200万人にも及ぶ大規模調査でも同じような結果だったのに方針を改めようとしない。これなど慰安婦問題で実は真っ赤な嘘だった「吉田証言」が他社の調査で嘘ではないかという早くからの指摘にもなかなか態度を改めなかったのと同じではないか。結局「吉田証言」についてはさすがの朝日も最終的に非を認めたが、その間にK国で起きた反日のうねりはいまだに収まる様子がないばかりか日本に相当の被害をもたらしている。「吉田証言」については朝日の態度が結果的に誤っていたのは明らかで、ならばきちんとデータの出ているHPVワクチンも同じだとはっきり示すべきだ。それが出来ないのなら私はこの新聞にまたもや失望せざるを得ない。
あのけいれんを起こし苦しんでいる少女の姿を見れば多くの人がワクチンを悪者にしたくなる。少女もわざとやっているのではない。小児科の専門医では以前からワクチンとは関係ないよくある病気と知られていて無意識にそういう症状が出てしまう病気なのである。その点の解釈も職員には実例を挙げて説明した(ここでは省く)。
ともかくまだ言い足りなかったが時間も迫り、最後はやはり「ワクチンは打つべし」で、以前のこてる日記同様、矢吹丈の「打つべし!打つべし!」イラストで締めくくった。後で青雲のママさん職員らに結構な反響があり、さっそく「頸がんワクチンを打たせます」と言ってくる人もいた。少しでもそう思って自分の娘さんたちに接種を受けさせてくれたら私のここ1ヶ月くらいのスピーチにかかった小さな苦労なんてどうってことない。でも非科学的な事実をさも本当のことに扱う勘違い者たちやマスメディアたちの暴走で培われた「空気」により、罹らなくてもいい病気になって不利益を被る人々がたくさん出てしまわないように、私は今後も子宮頸がんやコロナなどのワクチン問題を取り上げていくつもりだ。