2021年11月30日火曜日

「カサブランカ」いつ見る?「そんな先のことは分からない」ってか。

4階病棟で私の患者の病状報告を受けた。

「何、それって昨日の朝のことじゃないか。今頃か?」そして続けた「昨日って『そんな昔のこと』だよ」と。でも看護師は何にも反応しない。報告が遅れたことは置いておき、私は「知らないかぁ。今夜の予定を聞かれたら『そんな先のことは分からない』とか言うのだが・・」と言ってみた。しかし、ノーリアクション。

「君たち、『カサブランカ』って映画は知らないかな?」「知りませんー」「やっぱり。もう80年も前の映画だもんな」

ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマン主演の映画でそこに出てくる名台詞なんだがねえ。ボガード扮する酒場のオーナー、リックが酒場の女に言い寄られる。リックにその気は無い。そこで答える台詞が先の台詞でなんとも粋だ。私も使ってみたくこんな仕事で使ってはみたが全くの空振り。↓がその場面。


「カサブランカ」ってアメリカ映画は制作年が1942年だ。これって第二次世界大戦真っ盛りでアメリカは日本との太平洋戦争も始まっている。舞台はフランス領モロッコのカサブランカの酒場でヨーロッパからアメリカへ逃れたい人たちがやって来ていた。映画ではそこでのかつて深く愛し合った末に別れた女性との思いがけない再会と愛の再燃を描いている。何度見てもいい映画なんだよなぁ。白黒だとかありがちなメロドラマだとか言ってもいいものはいい。先ほどの名台詞の他にリックの言う「君の瞳に乾杯!」もいい。以前のアメリカ映画ではファン人気投票をすればこれと「風ともに去りぬ」が人気1、2位を争っていた。(評論家のベストテンでは「市民ケーン」がたいてい1位だった)

最近のアクションばりばりの映画などもいいが古びても名作はいい。飽きが来ないっていい映画の一番の条件でしょ。そこにいたマウントレーナNsに「見ていないんだったらぜひ見てごらん」と勧めると「ええ、見てみます」と素直だ。いい子だ。今はネット配信の時代になりつつあるけどこんな古いのも有名作品はきっと配信されているはずだが・・ちょっと調べると私の入っているUーNEXTとAmazon Primeにはあったは最新物が多いNetflixにはなかった。ううむ、若者にお勧めはNetflixだがちょっと残念。

かの有名な「カサブランカ」ですらほとんどの若者は知らなかったということは「風とともに去りぬ」もそうだろう。ま、私らの世代からでもこの2作は古い映画だったからしようがない。ああ、「老兵は消え去るのみ」・・か。

2021年11月29日月曜日

「おしん」嫁姑戦争舞台がやはり佐賀でなければならなかったのはなぜか

たつやましたDrに朝ドラの件で言われたのが「先生の日記を読んで(11月25日分「朝ドラ、朝イチ「まぼろし」の神回」)カムカムエヴリバディで亡くなったのがお父さんの金太だと初めて知りました。嫁と二人にそのことを話したら『そんなー』だったのですが、調べたらやっぱり先生の(書いたの)が正解でした」だった。

いやいや、私たちも勘違いしたくらいだから日本全国戸惑った視聴者は大勢いたことだろう。となると、復員したと見えた算太は生きているのか死んでいるのか、今のところどっちか分からない。まあそれにしても「カムカムエヴリバディ」は展開が早い。今日から息子を亡くした姑のいじめがあり、これからそれが散々続くのかと思いきや、15分後にはもう岡山から逃げて大阪で新たな生活を送りそうな感じだ。かつての朝ドラだったらあの「おしん」のように里の佐賀県の人たちから「佐賀の女性はこんなのではない」「県のイメージダウンになる」と抗議の電話が殺到するくらい描かれただろう。親娘三代の歴史を描くということで主人公も3人いて週5回半年で描き切るにはこれくらい早く進めないと間に合わないのだと思う。でもそれがせわしない現代の視聴者にはいいテンポなのかも。

そうだ、「おしん」での嫁姑戦争は作者橋田壽賀子によれば「佐賀でなければならなかった」という。それは意地悪な姑が佐賀に多いとかではなく、おしんの夫・竜三の最期を描くため「夫は武士道(佐賀鍋島藩の「葉隠」)の流れをくむ佐賀の旧家の末裔でなければならなかった」そうだ。覚えている人もいるかどうか、夫は戦争中は軍の恩恵で羽振りが良かったが息子や隣組の若者達を戦争に送り戦死させた責任を取り自決するのだった。なるほどねえ。「おしん」についてはいろいろ調べていたがこの事実は私も初めて知った。2019年の日経新聞「私の履歴書」で初めて橋田によって語られたという。

ストレスなく進むカムカムにしてもあの時代を描くとなれば戦争による悲惨さは避けられない。カムカムの金太も直接の戦死ではないがそれに近い。「戦争を知らない子どもたち」世代がほとんどの現代日本だが、今後もドラマだけでなく小説、映画、漫画などでずっと伝え続けていかなければならないことだと思った。

2021年11月28日日曜日

ゲンちゃん、ぐったりする

今日はどこかドライブにでも行こうかと、昨夜からカールと話をしていた。行き先は?となると、霧島もいいが霧島神宮が国宝指定の話題もあり渋滞も予想され、私が「大隅の雄川の滝はどう」と提案した。昨年9月、行く予定もあったが時間がなくて行けずじまいだった。あの大河ドラマのオープニングで滝の映像が使われて以来一躍人気スポットになった所だ。「いいね」と朝早く出かけようとしていた。

しかし。結局、私たちは行かなかった。いや、行けなかったのだ。ゲンちゃんの具合が悪かったからである。

実は昨日の午後、ゲンちゃんは予防接種を終えてからというものまったく元気がなくなってしまった。夕食も手を付けないしじっとして動かない。今朝になったらまた食べるだろうと思って朝5時の自動給餌器を見ていたらカラカラカラとエサの落ちる音がしてもゲンちゃんは寄りつかない。「心配〜」とカール。動物病院の先生から「しばらく元気がなくなりますよ」と言われてはいても「これじゃー、ゲンちゃんが気になって出かける気がしない」と、私たちもそのまま家に引きこもったのだった。

昼前にカールが新しいネコハウスを買って来たけれどすぐに入ろうともしなかった。その頃キタローが来てエサを上げたが、それに関わることもせずネコ用ベッドでぐったりゲンちゃんで、いったいいつになったら元気を取り戻すのだろう・・。
午後になってようやく家の中をゆっくり歩き始めたゲンちゃん。夕方5時にはエサを完食し、ようやく私たちは安堵した。「良かったぁ」

子どもが熱を出しているのに二人して遊びに出かける親はいない(最近はそうでもないか?)。ゲンちゃんは私たちの子どもと同じ。それを再認識した一日だった。

2021年11月27日土曜日

お隣さんにもエサ上げよん

朝出かける頃にモリサンチー家のネコ2匹がよく我が家にやってくる。無論、エサねだりだ。カールがエサを上げようとすると、早く早くとお顔を見上げる。ゲンちゃんも何だ何だと寄ってくる。左がメスのハッピーで右がオスのキタロー(我が家での呼び名はクネ夫)だ。

それぞれに皿も買ってあげ(キタローのはゲンちゃんのお下がりだけど)ほぼ毎日エサを上げている。ハッピーなんてエサもらうまで何時間も粘ることが多いからね。
一度、モリサンチーさんに「お宅はエサを上げているの?」とちょっと尋ねてみたいね(⌒о⌒)。

夜は野球日本シリーズをチラ見しながら天鳳を打っていた。このシリーズ、前半はいっつも0ー0だ。後半になっても1点差。これだけ接戦が続くシリーズも珍しい。今夜は追い込まれたオリックスがエース山本由伸で巻き返すかと思われたが、点数こそ抑えても打つ方がヤクルト投手陣に抑えられてはそうそう勝てるものではない。それに見ていて屋外の球場はとっても寒そうだった。そもそも11月下旬に夜の屋外で野球ってどうよ。まあコロナのせいとも言えるがプレイする選手や観戦するファンにとってもベストな環境じゃなかった。

ともあれヤクルト優勝で久しぶりのセ・リーグ優勝だった。ま、これまでソフトバンクが強すぎたからネ。ソフトバンクファンの私としては来年以降巻き返して欲しいがどうなるかな。監督をスター選手にせずに実績重視で選んだのは良かった。メジャーリーグなどスター選手が監督ってケースはほとんどないしー。その点新庄を選んだ日本ハムとどういう結果が出るか・・早くも思いは来年じゃー。

2021年11月26日金曜日

ベテランナースとやりとりをする

今日の私の外来に付いていたのは服裂き魔Nsだった。彼女ともかれこれ20年来の付き合いになる。私のつまらぬジョークにもとりあえずは付き合ってくれて、今日も「この人は今日胃カメラを希望したって明菜氏」とこれは「司馬氏待て」とならんでよく私が使う地口言葉だが、その心を教えると「へえ」と一応は反応してくれる。

「次の患者さんは過敏性腸症候群の人か。イリボー(過敏性腸症候群の薬)を希望とね」と確認し、彼女がボタンを押し次の患者を「受付番号・・」と呼びかけた瞬間「イリボーをいるぼー」とつぶやいた。すると、グッとこらえてアナウンスを止める服裂き魔Ns。「おいおい、そこまで言ってその後言わなきゃ尻切れトンボじゃないか」と私。吹き出しそうになっていた彼女はキッとこちらを見て「センセイ、今のは悪意がありますよ」「ええ、そうかぁ」「絶対笑かそうとしてた」「えへへ」といったやり取りもあった。

次の患者さんに漢方薬の「半夏厚朴湯」を私がDo.処方すると、彼女は「半夏って名前が付くと心身症っぽい人が多くないですか」と言う。ほう、効能を見ると「神経をしずめて、心と体の状態をよくし咳や吐き気をおさえる作用もあります。心身ともに疲れやすく、冷え症で繊細な人に向く処方です。とくに、ノドのつかえ感を訴えるときに好んで用いられます。具体的には、不安感や緊張感、イライラ、抑うつ、不眠、神経性の胃炎や動悸、めまい、さらに喘息や気管支炎などにも適応します」とあり確かにそうだ。「私、以前心身症ぽい時があって、その時は喉のつかえ感がありまさにそこに書かれているとおりの症状だったことがあるんです。そこでその漢方薬を処方されて・・」という経緯だったそうだ。「そしたら『半夏瀉心湯』という薬も消化不良による胃もたれや吐き気、あるいは不安や緊張など精神的要因でのどが詰まる感じがする場合に使われるって聞いて、半夏は精神的な不調に効くのかなと思った」んだとか。ほう、なかなか鋭いぞ。

私はあまり漢方薬は使わない。そのあたりは医師の好みの問題もある。しかし、いまやベテラン看護師となった服裂き魔Nsとの会話でいろいろ刺激をもらったことだった。

2021年11月25日木曜日

朝ドラ、朝イチ「まぼろし」の神回

MHK朝ドラの「カムカムエヴリバディ」をちょくちょく見ている。岡山市の菓子屋の娘、橘安子(上白石萌音)が主人公で繊維会社の跡取り息子と結婚するが夫は学徒出陣で出征してしまう。すでに先週の放送内容から戦死して戦争未亡人になるんだなと視聴者には予想できる展開だ。しかしそれとは別の意外な展開が今日はあり、朝ドラが終わった後の「朝イチ」で驚きのシーンが見られた。

ドラマでは空爆のため実家が被害に遭い、妻と母を亡くした父親も体調を崩したため安子は実家を手伝う。その父親金太(甲本雅裕)におはぎを習うなどした日の夜、金太は幻覚なのか、昼間、おはぎを盗んだ少年の声が聞こえ、あわてて戸を開けると、そこには戦地に行った安子の兄算太(濱田岳)がいた。金太はおはぎを盗んだ少年に算太を重ねていたが、突然の算太の帰宅に金太は喜び、これまでの思いや、妻、母を失った悲しみなどを赤裸々に語る。そんな父を算太は「戦争だったんじゃ、仕方ねえ」「そげん気を張るな」となぐさめる。勘当を理由に、息子が戦地に行く時に意地を張って見送れなかった金太ではあったが、後悔がずっと胸にあり、算太と出会え、心の重しが取り払われたような笑顔を見せるのだった。

見ていた私たちは算太はまぼろしで実は戦死しているのではないかと思った。しかしだ。最後の城田優のナレーションで、「金太が亡くなっているという知らせが入ったのはその翌朝のことでした」というまさかの“ナレ死”でこの日の放送は終わったのだ。あのー、実は私はまだ役名をしっかり把握していなかったので「金太」というのは演じている濱田岳かと思った。だってほら、彼ってCMなどで「金太郎」じゃない。でもちゃんと考えれば「金太」は父親の名前で、すでに死の境にいた金太は算太のまぼろし(実際は昼間の少年)としゃべっていたことになる。死んだのは金太。父親の方だった。そうか。

ここで現実に戻る。なんと「朝ドラ受け」をする朝イチの3人、博多華丸大吉の二人と鈴木アナウンサーが座ってはいるのだが、番組開始と同時に鈴木菜穂子アナが顔に手をやって「もう、ダメだ・・」と号泣する姿が流れ、スタジオは大混乱になりかけた。ゲストを紹介しないといけない鈴木アナがしゃべることが出来なくなり大吉も華丸も明らかに動揺している。
「ダメだ、もう」と鈴木アナ。
鈴木アナの号泣が収まらない。
「ニュースセンターに 振ってみましょうかね」と大吉。でも、だめで・・
「これ、まぼろしーってヤツでしょ」と気を利かす華丸。
ようやく鈴木アナがゲストを紹介。「まぼろしー!」のIKKOさん。
場が明るくなり「よかったぁー」と大吉。
いやはや、これぞ生放送のハプニングの面白さ!私を含め鈴木アナにもらい泣きしそうになった視聴者も多かったろう。「まぼろし」つながりでIKKOに収束できて神回とはこのことを言うのかも。

2021年11月24日水曜日

金閣「若き僧はなぜ火をつけたのか」

未明に覚醒したためTVのドキュメンタリーを見る羽目になった。すぐには寝付けなかったからね。

REGZAのおまかせ録画機能には私はドキュメンタリー番組を主に勝手録画するよう設定している。全てを見ることなどさすがに無理でどんどんたまっていく。最初は見ないと思う番組は自ら消していったがこれは面倒で、録画がいっぱいになったら古いのから削除されていくと知り、もうREGZAに任せっぱなしにしている。中には「お、これは」と思うのがあって、NHKBSのアナザーストーリーズ「金閣寺炎上 若き僧はなぜ火をつけたのか」を今回は見た。
「金閣」を放火焼失させたのは鹿苑寺金閣の見習い僧で大谷大学学生の林養賢であった。
日本海に面した小村の寺の息子で結核で亡くなった父親の頼みで寺にあずけられていた。ただ背後に僧侶として大成して欲しいと厳しく接していた母親がいた。さらに重度の吃音症があったのと住職の計らいで大谷大学にも入学するも寺の修行にも身が入らないところがあったようだ。厭世気分になり放火1ヶ月前以上から事件を計画していた。昭和25年7月2日未明、金閣内に忍び込み火を付け金閣と心中しようとするも怖くなり、近くの左大文字山に登りカルモチンを服薬し自殺を図ったがうまく行かず苦しんでいるところを夕方に発見され逮捕された。金閣は焼け落ち、事件直後、林養賢の母親は事情聴取のために警察に呼ばれ、息子との面会を望むも息子は大声で「絶対に会わない」と面会を拒否した。そして母親は家に帰る途中の列車から保津峡の峡谷に飛び降り自殺をしてしまった。精神科医で「金閣を焼かねばならぬ」で大佛次郎賞をとった内海健は養賢の母親を「毒親に近い」と事件の一番の原因に挙げている。

この金閣炎上は犯人の動機に複雑な感情があり、作家の創作意欲をかき立てるものがあるらしく、この事件をモチーフに三島由紀夫の「金閣寺」、水上勉の「五番町夕霧楼」と「金閣炎上」などが創作された。三島は供述書にあった「美に対する嫉妬」という言葉に刺激され、水上は自身が福井の寺の子で口減らしのために少年僧として寺に預けられるという境遇が犯人といっしょで「新聞の一字一句は私を極度に興奮させ緊張させ考えさせた」そうだ。

この中で割を食ったのは住職であった慈海和尚だ。三島には「好色家」水上には「吝嗇家」と書かれたが実情はそうではなく作家の脚色だった。水上はノンフィクション作品である「金閣炎上」の冒頭で「六年前高野分教場にいたころ、青葉山うらで逢った中学生がやったのだ。帽子を阿弥陀にかぶった額ぎわのせまい男。私と滝谷の会話を聞き入っていた吃音少年だ。あの男が火をつけたか」と明らかな嘘をついている。これは自身と養賢との類似性を「以前偶然にもあっていた」と書くことでリアリティを出すテクニックと考えられる。
ノンフィクション作家の吉岡忍は和尚にいくら実情を聞き出そうとしても「自分の不徳の致すところ」としか言わず決して人を非難したりなどの発言はなかったとのことだ。地域の人や他の修行僧にも慕われ、養賢やその母にも立派な戒名さえ付けている。金閣再建に向け奔走し再建後も30年間住職を勤め上げた。余談だが、私の友人の矢野謙堂(現在相国寺の和尚で臨済宗の教学部長)は小学生時に鹿児島の南州寺住職の父である矢野完道和尚と金閣の中に入るといううらやましい体験をしており、その時に案内してくれたのが慈海和尚だったことになる。養賢は事件から6年後に肺結核で亡くなり、統合失調症の症状が顕著ですでに廃人の様相であったという。

金閣炎上は不幸な事件ではあったが、それがなければ名作も生まれなかっただろうし、再建時に創建当時同様の金箔が施されることでさらに輝きを増し今でも多くの人を引きつけている。私もこれまで3回は見に行っている。番組では金閣には妖しいまでの美、歴史の重みが内在されていてそれらが事件を引き起こしたといった解釈もされていた。2年前に京都に行ったがまた行きたくなったよ。

2021年11月23日火曜日

北竜町ってどこよ?

カールが宅急便で届いたお米を見せてくれた。ふるさと納税を使って購入したお米だ。

「ななつぼし」っていうお米なのか。何、北竜ってどこの町なの?「北海道よ」ほう、北海道か。知らなかったな。↓地図参照。
Wikipediaによると「北竜町は北海道の空知総合振興局管内北部にある町である。雨竜郡に属する。 町名は母町の雨竜町北部に隣接することによる」だそうだ。さらに調べるとヒマワリの作付面積が日本一だそうでヒマワリを中心とした町づくりを行っているとか。
そして人口はたったの1719人。少なっ!でもふるさと納税でわずかとはいえ私たちは地域住民のお役に立てたことになる。

今は年末でふるさと納税利用が必然多くなっている。市場価格よりは3倍以上高い額で商品を各市町村から買うことになるが、来年度始めの納税時期にそれらは納税減額で返ってくる仕組みだ。各市町村もそれぞれが工夫を凝らすことで税収を上げることができる。いわゆるウィンウィンの関係である。困るのは税収を管理したい財務省くらい?

カールはこの1ヶ月はこまめにふるさと納税を利用しまくっている。この前ネタにした巨大クッション(MOGU)やアイリスオーヤマのハンディ掃除機もふるさと納税で買ったがだいたい食料品が多い。お米、ビール、あごだし、牡蠣、ラ・フランス、ミックスナッツ、博多通りもん、唐揚げ・・など、他県に住む子どもらにも送ったりしている。そしてちょっぴり知らない「ふるさと」のことも知ることが出来る。「地方再生」は政治家がよく使う公約だがこのふるさと納税はもっともっと広めてもいいんじゃないのかな。過熱を抑えるとかいって数年前に制限する方向に役所(たぶん財務省)が誘導したのはちょっと納得いかないぞ。

2021年11月22日月曜日

村中璃子氏に学ぶ〜子宮頸がんワクチン打たなかった問題〜

今日の話題は、もうこの日記で何度も取り上げてきた「子宮頸がんワクチン問題」だ。フジサンケイ系のサイトzakzakに京都大学大学院医学研究科の村中璃子氏が緊急投稿していた。タイトルは「「子宮頸がんワクチン」妨げたメデイアの“罪” 「危険性」を訴える根拠薄弱な主張、コロナで気づく機会に」で、読んでみてまさに私がこれまで書いてきたとおりの主張で大いに肯くことだった。→https://www.zakzak.co.jp/soc/news/211122/dom2111220002-n1.html

腰の重かった厚労省がHPVワクチンの積極的勧奨を来年度にも再開することを決めたという報道を受けてのことで、ならばあのワクチンの副反応と言われた症状が「多くは脳波や画像などの検査では異常のない、心的な背景を持つ身体表現性障害で、ワクチン薬剤との因果関係はなかった。専門家も国もそれを分かっていたが、メディアを駆使した強烈な反ワクチン運動を前に、8年以上もの間、勧奨を再開できないでいた」ことに対する主要マスコミや国の反省や罪はないのかと問いたい。子宮頸がんが今の10代後半から20代の女性たちは確実に多く発生するのは現時点では自明の事実だ。8年間の少女たちに対する「放置」プレイのせいで最大2800人x8=2万2400人の女性が死ぬのである。日本のコロナで死んだ人は現時点で1万8千300人ほどだから、子宮頸がんワクチン打たなかった問題がどれだけの悲劇を生むのかということだ。

上記の村中璃子氏は何年も前から子宮頸がんワクチン問題(ワクチンの副反応は問題なくてそれらを問題にする人やメディアに問題ありとの主張)を取り上げ、英サイエンス誌「ネイチャー」等が主催するジョン・マドックス賞を、2017年に日本人としてはじめて受賞した人とのことだ。この賞について村中氏は「“敵意のなかで科学の普及に尽した人"を対象とする賞ですが、100人以上の候補のなかには、アフリカで黒魔術を否定して命を脅かされている人もいました。そうした候補者のなかで私が選ばれたのは、子宮頸がんワクチン問題が多くの人の命に関わるグローバルな問題であること、そして“子宮頸がんワクチンによる副反応"の動物実験について私が“捏造"を指摘したことに対し、名誉毀損裁判を起こされたことが大きかったと思います。訴訟で科学者や記者を黙らせる動きは、世界的にも大きな関心事になっています」と語っている。

日本では誤った認識(子宮頸がんワクチンは危ない)が幅をきかしていて、それはいまだに続いているのだ。だから私は何度も日記でそこを指摘し糾弾し正しい知識とそれに伴う行動を起こそうと言い続けて来た。私は不覚にも村中氏のことは知らなかった。知らずともちゃんと調べれば「子宮頸がんワクチンは有効で安全」との同じ結論に達することは出来た。村中氏が受賞後その主張をまとめた著書「10万個の子宮」を上梓したのは2018年の2月でそれから3年以上も経過している。遅い!
かつてワクチンは危ないという主張を載せ続けたマスコミは、今からでも「あれは間違いでした。誠にすみません。みなさん子宮頸がんワクチンを積極的に打ちましょう」とキャンペーンを張って欲しいものだ。

2021年11月21日日曜日

(゜ー゜)

たまにある、日曜は夕方からの当直で、いそいそと病院へ出かけた。

外来患者は軽症の人が数名と救急車は1台、ただそれも自宅で転倒し後頭部を少し切ってるだけでステープラー処置でものの5分で終わった。そんなにきつい当直業務ではなかった。こんな時は医局でソファ寝してTVかビデオを見るぐらいのはずが、ネット麻雀の天鳳を珍しくやってみる気になっていた。日頃は当直ではまずしない。途中で呼ばれたらそのまま放置となり(自動ツモ切り状態)たいていは点数が減ってラスになるのが落ちだからだ。しかし今夜は二次当直担当でもないし「患者のあまり来ない日ですよ〜」とカッコちゃんNsの意見もあった。なにより、出て来る直前にラスを引いて少々悔しさも残っていた。

七段で持ちポイントが635Pと今年に入って最低ラインだ。よもやポイントゼロを切って六段に落ちることもないだろう・・。

しかし悪夢は偶然か必然か、予想外にやって来る。なんと5連続ラス(゜ー゜)、夕方の分まで合わせて6連続ラスという天鳳歴で最大の連続ラス引きをやってしまい、あっという間に六段に降段してしまったのだ。だいたいは上がれないうえにちょこっと放銃して何も出来ずにラスというのが多かった。たまに序盤に満貫上がってもすぐに大物手をフッて南場に入る頃はラス位置だった。
同じ頃、ライバルのサブアラド七段も打っていた。押さえるべき牌は押さえ、うまい具合に上がりも拾い、ポイントが2000前後で安定している。この調子なら久しぶりの八段も狙えるかも。つい3ヶ月ほど前は「私は八段、あなたは六段」といわゆる「上から目線」だったのにー。何でこんなに調子悪くなった?単なるツキの波ということもあろうが、何か打ち筋に原因があるのかもしれない。本来打つべきでない時に打ってしまったのも本調子でない証拠だろう。

人間、落ち目の時は冷静に自分を見つめ直す時期だ。臥薪嘗胆とかいうね。またいずれ追いつき追い越すつもり。待ってろよーサブアラド七段。

2021年11月20日土曜日

「イカゲーム」を見る

2ヶ月前から配信が開始され、話題になっていたNetflixの韓国ドラマ「イカゲーム」を見始めた。このドラマは世界中で話題になり多くの国で視聴第1位を記録し、Netflixの加入者増に大きく貢献し最大のヒット作になったと報じられ、どっかのタイミングで見てみようと思っていたからだ。

「イカゲーム」とは韓国の子どもたちに遊ばれている地面に図形を書き攻撃方と守備方で争うゲームだそうで、日本でも同じような遊びがあるだろう。このタイトルにも象徴されるようにこのドラマは借金などで現実世界から見放された大人たちが多数集められ子ども時代に遊んだゲームをさせられるという内容だ。それのいったい何が面白いの?と普通は思うだろう。私も第1話の途中までは中年のダメ男(主演:イ・ジョンジェ)のダメダメぶりが描写されるだけで、はてどうしたものかと思っていた。しかし最初のゲーム「だるまさんが転んだ(韓国語では『ムクゲの花が咲きました』)」を見て「おおっ」と思い、瞬時にこのドラマを完走すると決めた。きっと多くの人がそのシーンからこのドラマの魅力に引きつけられることだろう。
1話(約1時間)を見終えたところで、このドラマが全9話と韓国ドラマにしては約半分の話数ということと、主人公がイ・ジョンジェだとやっと気づいた。
1990年代の有名な韓ドラ「砂時計」や2007年の「エアシティ」にも出てきて映画スターでもあるイ・ジョンジェを私はもちろん知ってはいたけれど、そうと気づけないほどこのドラマの主人公になりきっていたのだ。最後まで見た今、さすがの演技力だったと言える。
ドラマではこの後も5つのゲームが登場する。「型ヌキ」「綱引き」「ビー玉遊び」「飛び石ゲーム」そして「イカゲーム」。イカゲーム以外はすべて私もやったことがある。あ、型ヌキだけは露店にお金を払ってしたことはない。あれは唾を付けると店のオヤジに叱られたものだったが、このドラマではそれはOKだった。それはともかく誰がこれらのゲームを本当にしたいと思うだろうか?その点は主要登場人物たちの背景を丁寧に描くことで説得力を持たせてはいる。トータルで9時間もないので1日か2日で見終わることも可能だ。脚本、監督のファン・ドンヒョクは日本の漫画「賭博黙示録カイジ」「バトル・ロワイヤル」「ライアーゲーム」などを読んでこのドラマの構想を思いついたと語っており、似ているのはそういうことかと思った。単純にパクリだとは言えないくらいよく出来ている。世界中でヒットしているのも肯けるわ。

そしてこのドラマには普通の韓ドラでは絶対に見られないシーンが二つある。それはタバコの煙を吐きだし本当に喫煙しているシーンとほんのわずかだが女性の乳首が見えるシーンだ。タバコはTV放送される韓国のドラマでは確か2003年から禁止なのに・・(だから2002年の「冬のソナタ」ではペ・ヨンジュンが喫煙するシーンがある)。それで分かったのがこのドラマはNetflixだけでしか見られないということだった。去年の「愛の不時着」や今年の「ヴィンチェンツォ」はNetflixが資金提供し韓国国内のケーブルTVで先に放送されたものをすぐにNetflixで配信したものだが、「イカゲーム」は最初からネット配信だけなのだ。だから映画的な演出が多いなとも思った。監督のファン・ドンヒョク当初映画での制作を考えていたそうだが2時間ではとても表現しきれないとNetflix側に言われ9話のドラマに落ち着いたそうだ。ただ、タイトルはNetflixの提案した「ラウンドシックス」より監督自身の主張した「イカゲーム」がその不可解な名前とユニークなビジュアルが視聴者を引きつけるのに役立ったのは間違いないだろう。

この世界的大ヒットを受け、シーズン2制作がほぼ決まったらしい。ううむ、二匹目のドジョウはドラマの世界ではあるとも言えるしうまく行かないこともある。シーズン1のクオリティを維持出来たらそこそこはヒットするだろう。Netflixもこれだけのヒットしたコンテンツを利用したくないはずはない。ドラマも映画も今やネット配信会社が世界をリードする時代になって来ているな。

2021年11月19日金曜日

心臓で困ったら

私は消化器内科が専門である。しかし循環器内科の患者さんを診ることもある。地域の中核病院では「専門以外は診ません」なんてワガママは言えないのだ。

一昨日の夕方、循環器内科非常勤の子作りDrから急遽「心不全の患者さんの入院担当を」と頼まれ、昨日から今朝まで診ていたが、症状の改善が思わしくなく循環器の専門医がいる鹿児島市内への病院転院がいいのではと、今日だけ非常勤勤務の循環器内科アミヤンDrに相談した。アミヤンとの付き合いは大学入学からの頃からできさくに乗ってくれた。で、結論は「肺高血圧を伴う心不全でここ(青雲会病院)では詳しい検査も治療も難しい。鹿児島市のカイリョー病院のソダマサDrに直接頼んだら。そのためにあそこの病院はあるんだよ」とまで言われ、「部長のソダマサ君は知っているよね」「ええもちろん」と鹿大第2内科つながりの有り難さを感じた。

今日は一般外来担当の村鉱Drが有休不在で外来業務が超忙しい中、カイリョー病院へ電話しソダマサDrに事情を話すと、勝手知ったるという感じで即OK、何時くらいに到着するのかととんとん拍子で転院転送が決まった。ふう、良かった。明日明後日が土日というのも決断を急がされた理由だ。青雲会病院はというより姶良市地区は循環器系疾患への対応が弱い。クリニックでの専門医は多くいるが循環器専門医が常駐するICUを持つ病院施設がないのだ。だから鹿児島市内、時には霧島市内へ患者さんの転送治療をお願いすることが多い。今日の患者さんはまだ60歳代で数ヶ月前と比べ急に悪化していたし入院治療でも私には改善させられるという自信は持てなかった。

救急車同乗は看護師さんに頼んだが、思えば私が救急車に乗って患者さん転送に付きそったケースは圧倒的に循環器疾患が多い。急性の「心筋梗塞、心不全、不整脈、大動脈瘤解離」などなど。中でもカイリョー病院、天妖怪病院の両者が多いかな。カイリョー病院は循環器内科が第一と第二になぜか分かれている。スタッフを見れば第一のキンちゃん副院長Dr、親戚の剣豪Drは知っているし、御大オールオーバーDrはバスケ部の先輩だ。第二は部長ソダマサDrは私の沖縄出張の後任だったし、田秀Drは沖縄時代の後輩、あ、そもそもハゲタナ院長とは大学病院時代にいっしょに外来をしていた。剣豪Dr以外みんな私よりえらい立場だ。私にとって第一か第二かは関係ない。今回みたくスムースに患者さんの連携が取れればそれでいい。
姶良市という地域にある病院の医師として、こうした患者さんを目の前にしたら、転送か待機かその判断を間違わないこと、転送必要ならすばやく動くこと、これが心に刻みつけておくべきことと思った次第だ。

2021年11月18日木曜日

「また来たよー」

昨夜から当直で夜はそんなに忙しくなかったが、明け方に2名患者が来た。どちらも胃腸症状で一人は炎症性腸疾患で大腸を全摘した人だった。この手の患者さんは脱水症状が出やすく、やはりそうで点滴を1L実施したら元気になって帰宅出来た。もう一人は某施設の人で嘔吐をくり返し逆流性食道炎起こし出血も少々あった。こりゃ入院だ。無論点滴は必要で絶食にする必要がある。ま、数日で軽快するだろう。

今回は医局のソファで未明まで寝てしまっていて当直室では寝なかった。当直室はコロナ病棟を作った関係で6階から4階の特別病室へ変更になっている。当直室にしてはちょっと広すぎて落ち着かない部屋だ。で、シャワーだけ利用した。そんなこんなで4階病棟のナースステーションを通り過ぎる際に、私は例の驚かしをよくやる。静かにお仕事、あるいは休憩している看護師らにぬっと現れ「キャー」と驚かすのだ。

だが相手も然(さ)る者、「こてる先生が当直の時はきっと驚かしに来る」と身構えている輩(やから)も多い。マリンNsもそうだった。ステーションに向かう私の背後にいたのだ。「えへへ」と笑われてしまったよ。あいちゃー。ま、そういうこともあるわな。

で、次いでに5階に行き、あれこれ指示出しした後、またこそっと4階に寄った。どうやらマリンNsは休憩室で朝食を摂っているようだ。デジカメを動画に設定しそっと近づく。もう来ないと油断しているはず。

「また来たよー!」「わっ!」「あははー」今度はきっちり驚かしてやったぜー。いやー、もう還暦過ぎてええ年したおっさんのやることじゃない・・わな。

2021年11月17日水曜日

なぜ、ロシアはダメなのか?

久しぶりにコロナの話題だ。日本では驚くほど感染者が減り、それは激減と言ってもいいほどで、鹿児島は2週間以上も感染発生ゼロ、人口1千万の大東京でも20人前後と微々たる状況になってきている。ドイツや韓国では1日感染者が過去最高を記録しているというのが信じられないくらい。韓国はどうしたんだろね?ワクチン接種率が70%を越えたというのに・・。

もう一つ、ロシアも感染者発生が記録更新して猛威を振るっているという。その原因としてネットニュースでは「ロシアの感染拡大の主な理由がワクチン接種率の低さにあるのは明らかだ」と断定している。「10月27日時点で2回の接種を終えた人は全人口の約32%と目標達成は遠い状況。英国、フランス、ドイツなど欧州の主要国がいずれも6割以上接種を完了しているのと比べても、はるかに遅れている。ちなみに日本の接種完了者は10月27日公表時点で、70.6%(首相官邸発表)だ」とし、ロシア独立系世論調査機関レバダ・センターが8月19日から26日に行った世論調査によると、「ワクチンを打つつもり」と答えた回答者はわずか14%で、半数を超える52%が「打つつもりはない」そうで、接種率の低迷に危機感を覚えたロシア政府は、ワクチン接種キャンペーンを推進。大統領以外にも、閣僚や自治体首長、専門家らが接種を勧める発言を繰り返すほか、国営テレビも連日、接種のメリットを強調する番組を放送。「あなたと、あなたの愛する人を守って」とするテレビCMも。また、病院のみならず商業施設などでの接種や、接種者への景品プレゼント、高額商品の抽選への参加権、果てはアイスクリーム無料提供など、あれやこれやの手段で接種を促しているが、効果はいまひとつだという。
ロシア人はなぜ、これほどワクチン接種に消極的なのか。

一言で言えば自国政府に対する不信感だ。ウラル国立教育大学のアンドレイ・コリャコフツェフ助教授(社会学)はロシアのネットメディア「スバボードナヤ・プレッサ」に対し「ソ連時代から続く、医療や保健システムに対する不信が、今回のワクチン接種への消極さにつながっている」と、ロシアの保健医療体制への根強い反感もワクチン拒否の一因だと指摘している。それに対し、日本は江戸時代の昔から「お上の言うとおり」と素直に従う国民性がある。それが悪い方向に行くこともあろうが、ことコロナに関してはいい風に作用していると思う。高齢者の2回接種率は90%を越え、全国民でみても11月17日時点で76.2%を越えている。先進国では接種率第1位だ。政府への信頼度が国民の健康に大きく影響することの証だ。

またロシアやウクライナなど旧ソ連の国々はなんと「医療費が基本タダ」なんだそうだ。それってすごくいいことみたいだよね。でもこれはとってもまずい仕組みだ。考えてもみてほしい。医療費ってやっぱりコストかかるのよ。それをタダにすればお金がいくらあっても足りやしない。その結果、非常に貧弱な医療行為しかできなくなる。患者は病院や医師を選ぶことは出来ないし待ち時間も長時間だ。民間保険に入ってお金を出す人にはそこそこの医療を提供できても一般の人々は満足な医療を受けられない。当然医師も満足のいく給与は得られず、ある論文では「一般に医師の賃金や社会的地位はほかの職業と比べて必ずしも高くなく、患者への違法な謝礼などの要求が横行している」とはっきり書かれている。→http://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/data/pdf/20067103.pdf
医療費をタダにすると返ってお金がかかるようになるってことなのよ。

逆にアメリカは医療費がものすごく高く一般の初診料だけで1万5千円から3万円もかかる。例えば虫垂炎を治療をすると150万円から440万円はかかる。日本では国民皆保険(かいほけん)制度があり、虫垂炎は実際に払う額は14万から30万くらいで高額医療の適用が取れればさらに安くなり8万ちょっとで済む。その差は歴然だ。

私はコロナ問題で今年の初めから「おおむね現政府はよくやっている」と評価してきた。にも関わらず東京オリンピック以前は批判する人が多かったよね〜。現状をみればコロナ対策はうまくいっているといわざるを得ない。まず以上のような事実をちゃんと把握した上で評価すべきは評価し批判すべきはちゃんと批判しようぜ。

2021年11月16日火曜日

そのカルテをなぜ写真に撮ったのか

今日撮ったデジカメ写真をチェックすると、変哲もないカルテ記載のものがあった。脳外科Drからの依頼で胃瘻を造った患者のカルテの写真だ。しばし考え込む。なんでオレはこんなのをわざわざ写真に撮ったのだろう・・。司馬氏眺める。
あ、そうか。カルテの上の方に小さく患者さんの生年月日、性別が載っていた。↓拡大。
そうなのよ。この患者さん、なんと106歳。しかも男性。胃瘻造設した人の中でこれまでの最高齢だ。いや、私はこれまで受け持った患者さんで確か104歳が最高齢でこんなに高齢の人を診たことはない。寝たきりの超高齢患者に胃瘻までする必要があるのかという意見もあろう。しかしこの人は経鼻チューブを長らくしていてそれならば胃瘻にと家族の希望もあったそうだ。ここまで来たら少しでも長生きして欲しいということだろう。私はその意見に賛成する。チューブであろうが胃瘻であろうが、生きていることがすごいし素晴らしい。

大正4年というと鬼滅の刃の炭次郎が生きていた時代、NHK大河の渋沢栄一も高齢ながらバリバリで働いていた頃だ。第一次世界大戦が始まっていて、野球ではいわゆる夏の甲子園大会(その時はまだ甲子園球場はなく10年後)が始まった年でもある。私から見ればもう大昔の歴史の一コマでしかない。この御老人はその後の時代を経験しているのだ。まだまだ長生きして欲しいと手技を終えたことを思い出したのだった。

2021年11月15日月曜日

こてる日記を英訳すると・・

ちょっと面白いことをやってみた。Googleには「翻訳サービス」https://translate.google.co.jpというのがあって、これが結構便利なんだ。世界中の言語テキストをコピー&ペーストすれば瞬時に和訳してくれる。英語くらいならじっくり読めばどうにか理解出来るがフランス語や韓国語などすぐには理解できないとか、それにどの国の言語かすら分からないというときに便利この上ない。

そんな翻訳サービスにこの前書いた私の「こてる日記」の一文を入力してみたのだ。11月12日の「縁の下力持ちの苦悩〜燃料費高騰問題〜」だ。

「昨日、高校同級生で現在は運送会社社長をしているジュラ君からLINEでの連絡を受けた。
「お疲れ様です‼️今日の18時9分からのKTSニュースを見て下さい🙇燃料高騰に苦しむ運送会社代表で取材を受けましたので、暇があれば。」
おうおう、そりゃ見たいぞ。しかし、そのタイミングではちょうど帰宅時間と重なる。予約録画をしないといけない、前日に教えてもらえばーというのが普通の人の反応だろう。しかし、こんな時にREGZAのタイムシフトマシンが威力を発揮する。KTSだろうがMBCだろうが地上波なら全部録画しているからだ。
それで1日遅れで見てみた。昨今の燃料費高騰が運送会社を直撃している。以前からドライバーの燃費運転をネットで管理することで燃料費節減効果があったが「燃費を0.1L/km改善しても・・」というほどの打撃ということだ。」
The anguish of the unsung hero ~ The problem of soaring fuel costs ~
Yesterday, I was contacted by LINE from Jura, a high school classmate who is now the president of a transportation company.

"Thank you for your hard work! Please see the KTS news from 18:09 today 🙇 I was interviewed by a representative of a transportation company suffering from soaring fuel prices, so if you have time."

Oh, I want to see it. However, at that timing, it just coincides with the time to return home. The reaction of ordinary people is that they have to make a scheduled recording, and if they tell us the day before. However, REGZA's time-shift machine is effective at such times. Whether it's KTS or MBC, if it's terrestrial, it's all recorded.

So I took a look one day late. The recent rise in fuel costs has hit shipping companies directly. Managing the fuel efficiency of the driver on the Internet has had the effect of reducing fuel costs, but it is a blow to the extent that "even if the fuel efficiency is improved by 0.1L / km ...".

おほほ、なるほどそう訳すのかと感心した。縁の下力持ちは最近は日本でもアンサンヒーローという言い方が使われてきている。また1行目の関係代名詞を使った語順などいかにも英語的だ。さらに「おうおう、そりゃ見たいぞ」が「Oh, I want to see it.」ってか。感じが出ている。これは和文英訳のいい先生になりそう。私が高校生だったら絶対利用するわ。

で、ふと思い至った。この英文を逆に和訳させてみたらどうだろう。ちょっとやってみよう。
歌われていない英雄の苦悩〜燃料費の高騰の問題〜
昨日、高校の同級生で現在運送会社の社長を務めるジュラさんからLINEから連絡がありました。
「お疲れ様でした!本日18時09分からのKTSニュースをご覧ください🙇燃料価格の高騰に苦しんでいる運送会社の代表からインタビューを受けましたので、時間があれば。」
ああ、見たいです。 しかし、その時は帰宅の時期とちょうど一致します。 普通の人の反応は、彼らが予定された録音をしなければならないということです、そして彼らが前日に私たちに言うならば。 ただし、このような場合はREGZAのタイムシフトマシンが有効です。 KTSであろうとMBCであろうと、地上の場合はすべて記録されます。
だから私は一日遅れて見てみました。 最近の燃料費の上昇は、海運会社に直接打撃を与えています。 インターネットでドライバーの燃費を管理することで燃費を下げる効果がありましたが、「燃費が0.1L / km改善しても…」という程度の打撃です。

あはは、おおむね内容は合っているが、いかにも訳しましたという文章だ。アンサンヒーローは直訳しすぎてミスった。この文を読んでだが、私が書いたという匂いが全くない。そう、文体がない。なるほど、コンピューターやAIが頑張ってもその人の文体まで訳すにはまだ時間がかかるか。今回はいろいろ納得できたちょいとした遊びだった。

2021年11月14日日曜日

極寒を登る、滑降する

引きこもりの日曜日。ネット麻雀をするかと思いきや、TV、ビデオを見ながらのダラダラ休日だった。しかし、NHKのBSを付けていると、雪山高山の危ないアドベンチャードキュメンタリーが二つあってどちらも途中から視聴だったのに最後まで見入ってしまった。

一つ目は「日本一の氷瀑に挑む」と題して、「北アルプス立山山中にある落差500m日本一の氷瀑。一人の青年が単独で完全登攀に挑んだ前代未聞の挑戦の記録」だった。今年5月放送の再放送で、NHKの紹介文によると、「北アルプス立山山中に500mの落差を誇る幻の滝がある。雪解けの時期だけ現れるハンノキ滝だ。冬、ハンノキ滝は全面結氷し日本一の氷瀑となる。その巨大な氷瀑にたった一人挑むのは、門田ギハード。W杯決勝にも残った日本人最強のアイスクライマーだ。待ち受けるのは、岩盤を覆う薄く不安定な氷、断続的に襲う雪崩、いつ崩れるともしれない垂直の氷柱…これは無謀な挑戦なのか?それとも世紀の大登攀か?驚異の登攀の記録。」ということだ。

私はどんな経歴の人が登るのか知らず、ナレーションは門田ギハード本人がやっていてなんだか心許ない気がした。しかしやっていることは粘りと根性がすごく、1日目は途中までロープの設置などやっていたが、なにせ雪崩がしょっちゅう起きてそのたびに氷壁に体をくっつけるんだ。どうにか夕暮れまでに終えて2日目から登攀開始し、途中、氷壁にテントを張って一夜を過ごしていた。3日目にどうにか頂上まで登り切るも最後は左足を滑らせ思わず落ちそうになった。氷にドリルを打ち込んでいてそれが支えになっていた。ホッ。私は冬山はおろか夏山も登ったことがないのでこんな悪条件の中を何で登るんやろと思ったり、とにかく凄いとしか言いようかがないドキュだった。門田は最後に「克己心」と書い旗を掲げていた。そう、自分に克つためにやっていたんだね。

次はこれも途中からの視聴で4年ほど前に放送された「デナリ 大滑降 完全版」だった。これも宣伝文句を。「アラスカにそびえる北米最高峰デナリ(旧名マッキンリー)。標高6000mから切れおちる南西壁の急斜面を一気に滑りおりる「世界初の冒険」に挑む山岳スキーヤー佐々木大輔(40)の1年間に完全密着!マッキンリーで消息を絶った冒険家・植村直己に幼い頃から憧れてきた佐々木。マイナス30度、酸素は平地の半分、突然の雪崩が襲う中、執念の滑降を続ける。8台の4Kカメラが捉えた前人未踏の冒険。唯一無二の記録、完全版」。こちらは登るのではなくて降りるドキュメンタリーだ。

私が見たのは登るのは終わっていていよいよ滑り始めるというところからだった。空彼のドローン撮影、ヘルメット、スキー板からの映像など事前に相当準備されてきたことが分かる。滑り始めてしばらく佐々木は途中で雪中に倒れ込んだ。極度に空気の薄い高地を滑降するため息が切れるんだ。そして立ち上がり、後から付いてくる同行するスキーヤーもいっしょに滑降を続ける。しかし雪崩で剥げ落ちた部位が氷結面になっているところを佐々木は直前に気が付き回避し横に移動したが、後からの同行スキーヤーはそれに気づかず氷に入り転倒し膝の靱帯を痛めてしまう。すぐに救出に向かう佐々木。10年かけて準備して来た自分のデナリ滑降より大事なことがある。いったん山腹のテントに二人は避難した。佐々木はその後の滑降をあきらめるつもりだったが同行スキーヤーは「自分はどうにか下山できるから続けろ」と励ます。いいシーンだ。

翌朝、快晴となったデナリを昨日の地点からもう一人の同行スキーヤーと滑降再開する佐々木。空からの映像では軽快に滑っているように見えるがスキー板から見ると下りの様子が見通せない。これは怖い。実際、雪庇(せっぴ)だと思って方向転換した先が実は間違いでとんでもない崖に向かっていた。これを直前に察知して回避する佐々木。雪庇と思った方が正しいコースだったが、ヘルメット画像からは確かにそっちが危なそうに見えた。もし勘違いしたまま滑ったら真っ逆さま。↓が間違いそうになったコース。怖っ。
そんな危機を乗り越え最後に滑る降りると感無量の佐々木だった。↓が残り数百m地点。
いやー、どちらも本当に「冒険」だった。かっこいい響きだが一歩間違えば命取りだ。私なんか絶対に出来ないししたくもない。こうして綺麗な映像でハラハラしつつドキュメンタリーを見るだけでいい。かっこ悪くてもしぶとく生き抜いていくしか能がないからー。

2021年11月13日土曜日

準備万端、結果散々

休みだったけれど、午後からリアル麻雀の約束があったため、午前中はなにかとやることが多かった。こてる日記を早めに書き上げること、クリーニングや散髪、それに「あいつら」へのエサやり・・。あいつらとはモリサンチー家のネコ2匹で、いっしょに呼ぶ時にこてる家が使う呼び方だ。ハッピーちゃんの方がよく来るがキタローもいっしょのことが多い。それぞれ専用のお皿もこっちは用意しているのよ。がっつく2匹↓。
がっつりぶりは女子のハッピーちゃんの方が上かな。ハッピーを見るキタロー。
散髪も1ヶ月以上ぶりだ。↓使用前使用後ならぬ散髪前散髪後。

まあカッティングしたって分かるくらいにはなっているな。

やるべきことは全部やってしまって心置きなく麻雀に臨める態勢だった。当然、勝つはずだと疑わなかった。このところ4連勝していたし、今日のメンバーには新人のいっちーいっちーDrも入っていたしー。しかしわずかとはいえ負け組に入ったわ(いっちーDrにはかろうじて上回った)。勝負事ってそうそううまくはいかないってことかぁ・・。

2021年11月12日金曜日

縁の下の力持ちの苦悩〜燃料費高騰問題〜

昨日、高校同級生で現在は運送会社社長をしているジュラ君からLINEでの連絡を受けた。

「お疲れ様です‼️今日の18時9分からのKTSニュースを見て下さい🙇燃料高騰に苦しむ運送会社代表で取材を受けましたので、暇があれば。」

おうおう、そりゃ見たいぞ。しかし、そのタイミングではちょうど帰宅時間と重なる。予約録画をしないといけない、前日に教えてもらえばーというのが普通の人の反応だろう。しかし、こんな時にREGZAのタイムシフトマシンが威力を発揮する。KTSだろうがMBCだろうが地上波なら全部録画しているからだ。

それで1日遅れで見てみた。昨今の燃料費高騰が運送会社を直撃している。以前からドライバーの燃費運転をネットで管理することで燃料費節減効果があったが「燃費を0.1L/km改善しても・・」というほどの打撃ということだ。
運送会社というのは実は地場産業を支えている縁の下の力持ちみたいな業界であることもジュラ君は強調していた。
さらに一業者の企業努力だけはどうにもならないほどの燃料費高騰なので行政側にも何らかの配慮が欲しいと率直な意見を述べていた。
いや、会社経営ってのは大変だな。実はジャラ君は以前かなりつらい経験をしている。優秀だった彼は東京の大学に行き、若い頃は野村證券勤務でバリバリやっていた。しかし父親が経営する地方の有力会社を引き継がざるを得ず帰郷したのだが、その時はすでに会社はかなり傾いていてすぐに倒産してしまったのだ。そして一時のつらい時期を乗り越え運送会社を興し頑張っていた。だが、去年からのコロナ禍に続いてのガソリン価格禍といやはやである。

「見ましたよ。マスク越しに運送会社社長の苦しみが伝わって来ました」と返事を送ると、「ありがとう❗️正直に答え過ぎたかな、という反省もありますが、もう流れてしまったものは仕方ないと思うようにしています」とのこと。同窓会でも中心的な役割をしてくれている好漢ジュラ君、いずれ燃料費問題は落ち着くはず、陰ながら応援しているぞ。

2021年11月11日木曜日

ネット注文で注意すべきこととは

カールから叱られたのよ。

「家を空けると分かっていたらネット注文なんかしちゃだめよ」って。

数日不在で帰宅すると、郵便受けに某宅急便から不在帳票が何枚も入っていた。チェックすると二つの注文があり、どちらも「何を注文したんだったっけ?」だった。確かシェーバーの洗浄液を注文した気がするが・・。でもあれくらいは郵便受けに放り投げてくれたらいいのにな。

「宅急便の配達係の人がうちに来て『また、いない』って何度も帰るのは気の毒だと思うの」と相手に対しても気を遣っている。

「そうだな、今後気を付けるわ」

それから1日、2日して注文物は二つとも無事我が家に届いた。いやー、どちらも郵便受けになんかは入りそうもない大きな品だった。


MOGUというインテリア会社の商品のパウダービーズが入って体を優しく包むソファ、それにビールケース24缶入りだった。
ところがこの2品、どちらもカールが注文したものだったのである。なのに「なんで配達日のことを考えて注文しないの」と叱られていたのは私。な、なんて理不尽な・・。

ただ、カールにも言い分はあった。どちらもふるさと納税での注文だったのだ。利用したことのある人は分かっていると思うが、ふるさと納税での配送はおおよその目安はあるもののいつ届くが分からない。2週間後程度とあっても1週間後に早くなることもあるし1ヶ月後になることもある。どちらも以前に注文していて、その注文したことすら忘れかけていたみたい。そんなワケで敢えて何もカール様には言わなかったが、こうして日記で暴露する私であった。

2021年11月10日水曜日

「元気で行動力がある」が迷惑

一般に「行動力がある」とはいい意味で使われることが多い。だが以前にも書いたことがあるかもしれない。「行動力がない」方が良かったケースがままあるのだ。

例えばつい最近列車内で殺人未遂や放火を起こす心を病んだ人たち。彼らがもう少し行動力がないキャラであったなら「人を殺して死刑になりたい」とは思わず、自分のみを責めて苦しむだけだったかも。人には迷惑を掛けなかった。まあそこまで大げさな事例でなくても、身近なところでは認知を患っているご老人が元気で行動力があるあまり困ったことをしてしまうケースがある。

カールが「困った」と語ってくれたのが、沖縄に住む叔母の話。元気なのはいいが数年前から認知症状が目立ってきた。とにかく物忘れがひどく3分と覚えていられない。だから5分おきにうちに相談の電話が掛かってくることもある。答えてあげれば「ああそうね」と言ってくれるがすぐに忘れてしまうのでまた電話が掛かってくる。「はあ・・」とため息が出てしまう。それはまだいい。子どもに恵まれなかったのと最近長らく闘病していた夫を亡くし一人になってしまったため、さらにカールへの負担が増した。一人で生活させるのはなにかと危うく、カールも鹿児島からそうそう気安く沖縄には行けないし、施設に預けようかという話になっている。

それはいいとして、それまで信心めいたことはせず、かつては仏壇など勝手に捨てたこともあるというのに、相談することなく新しく高価な仏壇を購入していた。ヘルパーさんが家に真新しい仏壇があるので驚いてカールに連絡してきたのだ。「はあ・・」またため息が出る。「高と思ったらパッと行動するタイプなのよ。おまけに体はまだ元気そのものだしー」認知さえなければ独居でも何の心配もなかったのに・・。
購入したのは↓と同じくらいのお値段の立派な仏壇らしい。
「そんな叔母さんにお金を持たしておくのは心配だな。今回もほとんどむだな出費ウン十万だろ」「そうなのよ。で、『カールにお金を預ける』とか叔母は言うけど絶対お断りだわ」ときっぱり。なぜかというと、「絶対に『カールにお金を取られた』と言うに決まっている」からだそうだ。「そんなこと言うわけないじゃない」と叔母に言われたが、「そんなこと」が他の人のケースですでにあったんだそうだ。そうやね。認知のお年寄りには「誰々にお金を取られた」という妄想が頻発する。私の親族にもそれはあった。

元気で行動力がある。しかし認知症患者にそれがあると周囲は困ってしまうという事例であった。

2021年11月9日火曜日

胆汁性下痢に効くその薬の名前は・・

年に1回か2回、病院の医局員を前にレクチャー講演をしなければならない。今日が1年ぶりに私に当たっていた。で、1ヶ月くらい前からテーマを決め、スライドを先週作っていた。私にしては余裕を持って作れた方だ。

さてそのテーマだが「胆汁性下痢」というタイトルで、意外に治療に難渋する下痢の有効な対策を紹介したものだった。結果からいうと、私のこれまでの医局レクチャー歴で一番の反響があった。発表が終わった時に、可愛いんだ理事長が「うむ、なかなかいい発表だった」と言ってくれ、医局に戻った時に脳外科のカワゼンDrが「先生、さっきの発表のスライドのコピーをもらえませんか」と頼まれ、Macのキーノートで作成したものをパワーポイントに変換してWindowsでも見られるようにして渡した。さらに午前の内視鏡検査を始めようとしたら、脳外科のポンシンDrと外科の東洋Drがいっしょに来て「さっきの下痢に効くという薬の名前は何ていうでしたっけ」と尋ねて来たのだ。

いやはや、スピーチの中で何度も「コレバイン」という薬名を連呼していたつもりだがドクターってのは意外と薬名を覚えるのが苦手なんだ。

スピーチの概要は胆汁酸による下痢にコレバインが有効ということだった。肝臓から作られる胆汁酸は脂肪の吸収に役立っているわけだが、余った胆汁酸は小腸末端でほとんどが再吸収されまた肝臓に戻り、一部(約5%)が大腸に流れ、これが大腸を刺激し排便を促す。しかし胆汁酸の吸収がうまくいかず大腸に余分に流れると頻回の下痢を起こすようになる。人によっては毎日、特に午前中の食後に起きやすく悩みの種になる。胆石などで胆嚢を取ってしまうと胆汁酸のコントロールがうまくいかず胆汁性下痢を起こすことがあり、スライドで紹介した3人ともそうだった。その人たちに胆汁酸を吸収する薬コレバインを投与するとピタッと下痢が止まるのである。

実はこの事実は7、8年前くらいからかな、消化管をやっている内科系ドクターにはちょっと知られていて、以前青雲会病院に非常勤勤務していたグッちんDrも自身のブログで触れていたし、ネット上でも「下痢が劇的に改善!人生を救ってくれた」とまで言い切る患者さんもいたし、学術的にも東邦大学の発表もあり、また岡山の川崎医科大では「胆汁性下痢のコレバインによる治療成績の検討」のために治療した患者さんに研究参加を募ったりしていた。またNHKの「ためしてガッテン」でも薬品名こそ出て来なかったが2015年に胆汁性下痢の特集もあった。ちょっとアンテナを張っていれば知れた事実だったのだ。

日常診療で下痢に悩むのは患者さんばかりではない。どうにか止めて欲しいという訴えに医者の側もうまく応えられずにいるってことだった。何と、この後可愛いんだ理事長から院内電話で「今朝の話の薬は何ていう薬だったかな」と来て、昼前には外科の貴文Drまで来て「こてる先生〜、術後の患者に使いたいんですが、あの薬の名前は〜?」と来たのにはもう笑うしかなかったよ。なにがって、みーんなコレバインって名前を覚えていないんだもん。ついさっきしゃべったばかりなのにー。初めて聞く名前って本当に医者は覚えてくれない。コレバインそのものは20年も前には上梓された薬なんだが外科系のドクターにはあんましなじみがなかったんだろうね。私はスライドの最後にこの薬のおかげで快調そのものになった患者さんの承諾を得てその写真を発表に使わせてもらった。↓。「これはいい!」口に出してみれば分かるが「コレバイン」とも聞こえる。
そうだった。スピーチでも触れたが、この薬、本来はコレステロールを下げるための薬だ。胆汁酸(成分はほとんどコレステロール)をコレバインが吸収すると胆汁酸不足になるため血中からコレステロールを肝臓が消費するからだ。しかしの効果はスタチン系薬剤と比べると弱い。しかし胆汁性下痢には特効薬とも言えるほどの効果を示す。現在のところ、コレステロールが高い患者にしか使えないが「胆汁性下痢」もしくは「下痢型過敏性腸症候群」の病名でコレバインが保険適用になってほしいと切に願うわ。