2021年11月20日土曜日

「イカゲーム」を見る

2ヶ月前から配信が開始され、話題になっていたNetflixの韓国ドラマ「イカゲーム」を見始めた。このドラマは世界中で話題になり多くの国で視聴第1位を記録し、Netflixの加入者増に大きく貢献し最大のヒット作になったと報じられ、どっかのタイミングで見てみようと思っていたからだ。

「イカゲーム」とは韓国の子どもたちに遊ばれている地面に図形を書き攻撃方と守備方で争うゲームだそうで、日本でも同じような遊びがあるだろう。このタイトルにも象徴されるようにこのドラマは借金などで現実世界から見放された大人たちが多数集められ子ども時代に遊んだゲームをさせられるという内容だ。それのいったい何が面白いの?と普通は思うだろう。私も第1話の途中までは中年のダメ男(主演:イ・ジョンジェ)のダメダメぶりが描写されるだけで、はてどうしたものかと思っていた。しかし最初のゲーム「だるまさんが転んだ(韓国語では『ムクゲの花が咲きました』)」を見て「おおっ」と思い、瞬時にこのドラマを完走すると決めた。きっと多くの人がそのシーンからこのドラマの魅力に引きつけられることだろう。
1話(約1時間)を見終えたところで、このドラマが全9話と韓国ドラマにしては約半分の話数ということと、主人公がイ・ジョンジェだとやっと気づいた。
1990年代の有名な韓ドラ「砂時計」や2007年の「エアシティ」にも出てきて映画スターでもあるイ・ジョンジェを私はもちろん知ってはいたけれど、そうと気づけないほどこのドラマの主人公になりきっていたのだ。最後まで見た今、さすがの演技力だったと言える。
ドラマではこの後も5つのゲームが登場する。「型ヌキ」「綱引き」「ビー玉遊び」「飛び石ゲーム」そして「イカゲーム」。イカゲーム以外はすべて私もやったことがある。あ、型ヌキだけは露店にお金を払ってしたことはない。あれは唾を付けると店のオヤジに叱られたものだったが、このドラマではそれはOKだった。それはともかく誰がこれらのゲームを本当にしたいと思うだろうか?その点は主要登場人物たちの背景を丁寧に描くことで説得力を持たせてはいる。トータルで9時間もないので1日か2日で見終わることも可能だ。脚本、監督のファン・ドンヒョクは日本の漫画「賭博黙示録カイジ」「バトル・ロワイヤル」「ライアーゲーム」などを読んでこのドラマの構想を思いついたと語っており、似ているのはそういうことかと思った。単純にパクリだとは言えないくらいよく出来ている。世界中でヒットしているのも肯けるわ。

そしてこのドラマには普通の韓ドラでは絶対に見られないシーンが二つある。それはタバコの煙を吐きだし本当に喫煙しているシーンとほんのわずかだが女性の乳首が見えるシーンだ。タバコはTV放送される韓国のドラマでは確か2003年から禁止なのに・・(だから2002年の「冬のソナタ」ではペ・ヨンジュンが喫煙するシーンがある)。それで分かったのがこのドラマはNetflixだけでしか見られないということだった。去年の「愛の不時着」や今年の「ヴィンチェンツォ」はNetflixが資金提供し韓国国内のケーブルTVで先に放送されたものをすぐにNetflixで配信したものだが、「イカゲーム」は最初からネット配信だけなのだ。だから映画的な演出が多いなとも思った。監督のファン・ドンヒョク当初映画での制作を考えていたそうだが2時間ではとても表現しきれないとNetflix側に言われ9話のドラマに落ち着いたそうだ。ただ、タイトルはNetflixの提案した「ラウンドシックス」より監督自身の主張した「イカゲーム」がその不可解な名前とユニークなビジュアルが視聴者を引きつけるのに役立ったのは間違いないだろう。

この世界的大ヒットを受け、シーズン2制作がほぼ決まったらしい。ううむ、二匹目のドジョウはドラマの世界ではあるとも言えるしうまく行かないこともある。シーズン1のクオリティを維持出来たらそこそこはヒットするだろう。Netflixもこれだけのヒットしたコンテンツを利用したくないはずはない。ドラマも映画も今やネット配信会社が世界をリードする時代になって来ているな。

0 件のコメント:

コメントを投稿