今日の私の外来に付いていたのは服裂き魔Nsだった。彼女ともかれこれ20年来の付き合いになる。私のつまらぬジョークにもとりあえずは付き合ってくれて、今日も「この人は今日胃カメラを希望したって明菜氏」とこれは「司馬氏待て」とならんでよく私が使う地口言葉だが、その心を教えると「へえ」と一応は反応してくれる。
「次の患者さんは過敏性腸症候群の人か。イリボー(過敏性腸症候群の薬)を希望とね」と確認し、彼女がボタンを押し次の患者を「受付番号・・」と呼びかけた瞬間「イリボーをいるぼー」とつぶやいた。すると、グッとこらえてアナウンスを止める服裂き魔Ns。「おいおい、そこまで言ってその後言わなきゃ尻切れトンボじゃないか」と私。吹き出しそうになっていた彼女はキッとこちらを見て「センセイ、今のは悪意がありますよ」「ええ、そうかぁ」「絶対笑かそうとしてた」「えへへ」といったやり取りもあった。
次の患者さんに漢方薬の「半夏厚朴湯」を私がDo.処方すると、彼女は「半夏って名前が付くと心身症っぽい人が多くないですか」と言う。ほう、効能を見ると「神経をしずめて、心と体の状態をよくし咳や吐き気をおさえる作用もあります。心身ともに疲れやすく、冷え症で繊細な人に向く処方です。とくに、ノドのつかえ感を訴えるときに好んで用いられます。具体的には、不安感や緊張感、イライラ、抑うつ、不眠、神経性の胃炎や動悸、めまい、さらに喘息や気管支炎などにも適応します」とあり確かにそうだ。「私、以前心身症ぽい時があって、その時は喉のつかえ感がありまさにそこに書かれているとおりの症状だったことがあるんです。そこでその漢方薬を処方されて・・」という経緯だったそうだ。「そしたら『半夏瀉心湯』という薬も消化不良による胃もたれや吐き気、あるいは不安や緊張など精神的要因でのどが詰まる感じがする場合に使われるって聞いて、半夏は精神的な不調に効くのかなと思った」んだとか。ほう、なかなか鋭いぞ。
私はあまり漢方薬は使わない。そのあたりは医師の好みの問題もある。しかし、いまやベテラン看護師となった服裂き魔Nsとの会話でいろいろ刺激をもらったことだった。
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