2023年6月9日金曜日

「名前は長いが効き目は早い」

この前、MBC夕方の「あの日のふるさと」を見ていたら、平成元年(1989年)の南薩少年自然の家開所の式典が出ていた。私は南薩出身だが加世田市地域とはあまり縁がない。砂像彫刻で有名な海浜公園にも子どもたちと20年くらい前に一度行ったことがあるくらいだし、後はチッチのサッカー観戦に1、2回行ったくらいか。仕事も1、2回バイト当直を経験したくらいで常勤した医療施設はない。近いけれど意外に遠い地域だ。

だから「少年自然の家」も利用したことはないし行ったこともない。でも、今日の古いニュース映像には思わず「おおっ」と覗きこんでしまった。鹿児島県知事が挨拶したり、有名彫刻家の彫像が披露された式典の参列者の中に恩師の福田晴夫先生が映っていたからだ。


グレーのスーツで細身の拍手している中年男性が福田先生だ。高校1年の時の副担任で生物を担当していた。単なる高校教師というより、日本蝶類学会の会長になったことがあり、後に県の博物館館長なども務め、鹿児島県の蝶の研究の第一人者として知られている。青雲会病院の歯科口腔外科の山守先生は蝶のフィールドワークをやっていて当然福田先生とは面識があり師弟関係でもある。この放送ではテロップもなにもなかったので写真と動画を見せ「福田先生に間違いないですよね」と聞いたら「間違いないです」とのことだった。このころは55か56歳頃だ。今の私より若い。

今年は90歳ということでさすがに蝶採集などのフィールワークはできないが80歳過ぎても行っていたらしい。山守先生はまだ還暦を迎えたばかりで県本土や屋久島、南西諸島など蝶を採り、マーキングするなどして生態系の研究を続けている。その年で大変か?否。山守先生など「私はいまだにですね。明日フィールドに出て蝶を採れるかと思うとワクワクして眠れないこともあるんですよ」と言っていた。なんと、彼らにとって蝶採りは普通の人の遠足前と同様なんだ。「福田先生にこの放送に出ていたって教えときますよ」とのことで「よろしくお願いします」と私は返事した。

福田先生でいうと、昔、先生の授業で習った言い回しが印象に残っている。その言い方を応用して使うと意外なほど受けるのだ。何がきっかけだったか全く覚えていないが、福田先生が「昔『コルゲンコーワ風邪薬』という薬の『名前は長いが効き目は早い』という宣伝文句があった」と語ったのだ。「〇〇は長いが」というならその次は「△△は短い」と言うべきを「早い」と言って効果を強調するのが妙に可笑しいのだ。「名前の長さ」と「効き目の早さ」は本来比較できるものではないのになんだか納得されてしまう・・。

そのパターンを上手く使うと本当に受ける。青雲会病院の会議で、私がある時「可愛いんだ理事長は身体は大きいのに細かなところまで気がつく」と言ったら職員がどっと笑ったものだ。ふふふ「福田先生、あなたのおかげですって」思ったヨ。→2015年7月28日「伝え方が9割」https://koteru-nikki-2015.blogspot.com/2015/07/9.html

薬では言えば、最近はジェネリック製品を指示する際に一般名がよく使われ、それらはたいてい長くて覚えきれない。医師でも覚えていないこも多く当然患者さんも「血圧の薬」とかしか言えない。「何という薬か長くて聞いたこともないし・・」という患者さんには「薬の名前は長いが効き目はいい」などといって妙に納得させようか、えへへ。

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