ちょうど25年くらい前はネットの通信囲碁にハマっている頃だった。その頃買った本に安倍吉輝「碁敵粉砕!裏定石必勝法(1997年)」というのがある。ずっと本棚にしまわれていたのだがこの間手に取って見ると、オマルさんとの対戦で使えそうな「裏定石」があった。目外し(もくはずし)からのツケノビの秘策というものでこれは使える!と直感した。
安倍吉輝プロはすでに故人だが、アマ指導や定石関連の書籍で有名だった棋士だ。NHK囲碁講座の講師を務めたこともある。で、その裏定石というのが↓の形である。
黒⑥と切るのは本来定石にもある手で、白はその下から当てて打つのが正解だ。しかし力戦派のオマルさんなら左から当てて黒⑥の石を取りに来ると思う。しかし取りに来るのは無理手で下図の「2図」にあるように黒に打たれると逆に囲まれた白石2個が黒に取られるのだ。
さて今夜、そんな秘策を秘めて老健に出向いた。今回は白番で4隅の一つを目外しに打った。するとオマルさん、裏定石本にあるように高ガカリをして来た。よし予想通りだ。ツケノビ秘策のお出ましだぜ。
オマルさんは案の定、無理手である切った白石を取りに来る手を打ってきた。↓上下が違い、白黒が反対だが、裏定石本の2図(黄丸)と全くいっしょであるのが分かるだろう。
ここでまた裏定石本の記載を見てみよう。手数は長いがもがけばもがくほど5図6図7図のように白石は石数が10目以上に増えて取られてしまうのだ。
オマルさんは上図の5図白①のようにトンで逃げようとした。私はしめしめと思った。ここで下図↓白丸のように打てば裏定石本のようにオマルさんの黒石を全部召し捕れるのだ。私は心の中でにたぁ〜としているのをさとられないよう神妙な顔をしていた。
私はこの裏定石を自宅の碁盤で何度も並べてマスターしたつもりだった。が・・手順前後、白丸のところではなくつい黒の飛び石の間を裂く手を打ってしまった。↓の矢印が失着。
そして、本来白が打つべき所をオマルさんに打たれ、黒石の脱出を許してしまったのだ。↓。がっくり・・。
結局↓のようになって黒に簡単に生きられてしまった。ただ白の私も外回りの外勢を得てそんなに損はしなかったが、失敗したという気持ちが残っていて、結局負けにした。
完璧に打てれば私が絶対的有利になっていた。しかし付け焼き刃というかちょっとした抜けが出てくる。まだまだ実力が伴っていないということ。悔しかったけれど、最後投了する時には素直に頭を下げ、また捲土重来を期して老健を後にしたのだった。
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