この前総胆管結石で入院しいったん減黄処置していた高齢女性に、またERCPをして結石の排石術を行った。十二指腸乳頭を電気切開した後、バルーンカテーテルを入れて乳頭を拡張する。そう準備しておいて総胆管内の径1cmを越える結石をバスケットカテーテルでつかんで胆管外に排石するのだ。その乳頭拡張をしている最中だった。ガタンと音がしてレントゲンモニター、内視鏡室モニター両方の画面が消えた。
「停電?」
透視室内の補助ライトは付いていたがこれは停電が起きたに違いない。
「外は雷が鳴っていたからそのせいか・・」
そう言いつつも内視鏡を持つ手は動かすわけにはいかない。ガイドワイヤーとバルーンカテーテルは総胆管の中に入れたままなのだ。ここはぐっと我慢の子だ。
2、3分くらい経過しただろうか。先に内視鏡室モニターが付き、ワイヤーもカテーテルも抜けていないのが分かり、ホッとした。レントゲンモニターは復帰するのにさらに数分かかった。結局その時点までのレントゲン撮影分は消えてしまっていた。
その後は排石もうまくいき、総胆管内に残石なしを確認してピッグテイルのERBDチューブを留置して手技を終えた。約1時間、停電中断を除けばまず順調にいったほうだろう。内視鏡室に戻って手洗い時に左親指の付け根に小さな豆が出来ているのに気がついた。手技中のほとんどの時間、総胆管に入れているガイドワイヤーが抜けないよう左手で内視鏡を抑えていたからなぁ。
病棟に上がる前に外来処置室にいた耐神宮Nsに「バンドエイド貼ってくれない」と頼んだ。「バンドエイド?カットバンのことですか」との反応で「そうとも言うね」と答えると「なんかうちの子どもみたい」と笑ってポチッと貼ってくれた。
停電にもめげず豆にもめげず、仕事は続いて行くのであった。
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