朝、当直のカワゼンDrに「下血の患者さんが今朝運ばれて来まして」と言われた時には「やっぱり?!」って言ってしまったよ。昨夕感じた嫌な予感がぴったし当たった。症状を聞くに大腸憩室出血にほぼ間違いない。その高齢女性を引き受けて午後に大腸検査を予約を入れた。
ほかの検査も長引いたため、18時ごろからその患者の大腸内視鏡を開始した。下血も続いているゆえ、「検査は明日だ」なんて言ってられない。挿入するとS状結腸に憩室が多発していた。しかし血液は深部大腸の方から流れてくるので、腹部CTで確認された上行結腸の憩室からの出血か。腸管癒着もあるせいか、その患者さんは「あいた」「あいた」とスコープを動かすたびに反応するのでやりにくい。しかしそこでひるんではいけない。そこで負けてしまえば、結局出血が止まらず、損をするのは患者さんだ。最深部の盲腸まで挿入出来たが、すぐには出血源がつかめなかった。憩室はあるのだがどうもはっきりしない。ま、憩室出血にはそれはよくあること。なにせ全国での出血源同定率は2、30%程度なのだ。
まず憩室出血に違いないと臨んだこの検査、実は意外なところから出血しているのが分かった。横行結腸の普通の粘膜に露出した動脈の血管から出血していたのだ。憩室出血ではないが症状は全くいっしょ。そして内視鏡室処置法も同じ。まずはクリップで出血源を挟み込む。しかしこの露出血管、大きくてクリップのみでは止血がやや不十分だった。そこで伝家の宝刀「EBL」だ。ゴムバンド結紮法でこれが掛かればほぼ完璧だ。
いやー、時間はかかったが上手くいった。なにやかにやで全て終えて病院を出たのは20時。ひえー。しかし検査が結果的に上手くいけばそんなの疲れも吹っ飛んじゃう。「あいた、あいた」言っていた患者さんも感謝感謝で、内視鏡医冥利に尽きるってー。
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