2020年8月6日木曜日

「コロナで自殺」は100%〇〇である。

「 新型コロナに感染した人が、もしくは新型コロナ感染した人の関係者が自殺したんだって」

このような噂を聞いたならばそれはほぼ100%デマである。鹿児島県でも感染した姶良市の看護学生は退学させられたとかその看護学生の父親が自殺したとかなどの噂が広まっていたが、看護学校の赤塚学園のホームページで見れば学生は元気に登校しているし、その父親が自殺したなんてことも全くないことが分かっている。何よりこの手の噂話が全国同時多発的に各所から発生しているという事実を知ればデマ、流言の類いであることが知れよう。

5月初めの毎日新聞のサイトに「なぜ? 各地で「新型コロナ感染で自殺」のデマ 背景に感染者バッシングか」との記事があった。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い生活への不安が広がる中、各地で「感染を理由に自殺した人がいる」とのうわさが出回っている。毎日新聞では出元を特定できた千葉、高知、山口県の3カ所を調べたが、いずれも根拠のない流言だったことを確認した。なぜ、同時多発的に同じうわさが広がるのか。背景には、感染者をバッシングする風潮があるようだ。

「隣の県の40代のコロナ患者が亡くなりました(略)自宅に落書きされ、コロナで咎(とが)められ、暴言をはかれ自殺したそうです」

4月21日、福岡県内に住む男性がツイッターに書き込むと、情報は瞬く間に拡散された。男性は取材に対し、「友人から聞いた話」と前置きした上で「自殺したとされる男性は大分県に出張した際、クラスターが発生した飲食店を訪れて感染したらしい。妻からも離婚されたようだ」と話した。記者は情報の真偽を確かめるべく、当該男性が住むとされる山口県下関市内へと向かった・・。

この後は有料記事だったので詳細は知らないが、きちんとウラを取ってデマだったということだ。そしてつい2日ほど前の高知新聞でも同じような記事が載っていた。2ヶ月前に毎日新聞で「高知」も流言と出ているにも関わらずデマは収まっていなかったのだ。

高知のコロナ感染「看護師自殺」はデマ 院長が否定、ネットで悪質投稿拡散「放置できない」

「看護師は解雇され、心を病んで自殺した」「自殺未遂して引っ越した」―。高知県内で初めて新型コロナウイルスの感染が確認された30代の女性看護師を巡り、インターネットなどに事実無根の情報が氾濫している。感染判明から4ヶ月が過ぎた今も、ネット上に悪質な匿名投稿が拡散。実社会でも「事実」のように語られている。そんな中、看護師の勤務先の院長が高知新聞の取材に応じ、「彼女はちゃんと生きている。自殺や解雇はデマだ」と否定した。
中内整形外科クリニック(高知市旭上町)の中内睦郎院長(57)。これまでは取材対応を控えてきたが、虚偽の情報拡散が収まらない状況を受け「看護師やクリニックを巡るデマを払拭(ふっしょく)したい」と口を開いた。看護師の感染は、高知県などが2月29日に「県内1例目」として発表。中内院長はクリニック名の公表を県と市に了承した。「非公表にすることで臆測や混乱を招きたくない。医療従事者として黙っていることはできない」との思いからだった。しかし、世間の反応は冷酷で苛烈だった。ネット上では、感染した看護師を「加害者」と決めつける書き込みが相次ぎ、クリニックにも「責任を取れ!」「閉院しろ!」とバッシングや嫌がらせの電話が連日かかった・・。

すでに自殺したものとして、原因が中内整形外科から訴訟されただの、自宅に落書きが相次ぎ耐えられなかっただのいかにもな理由付けまで語られている。県内第1号患者だったということでそれについては世間の関心や注目も高く、鹿児島県も第1号の中年女性の男性友人が「自殺した」との噂が出ていた(まだ出ているかも)。普通に考えればなんで当事者でなく関係者が自殺する?と思うが、上の高知の例でも分かるように感染者及びその関係者を罰したいという世間の空気がそうさせているようだ。世間に迷惑を掛けているのに何も罰されないのかという心理が働くのかもしれない。

私も「看護学生は退学させられた」と聞いた時に、「そりゃひどい。学校はあんまりでは」と思った。しかし父が自殺したと聞き「これはデマだろう」と思って赤塚学園のホームページを調べたら何のことはなかった。しかし学校には非難中傷の電話やメールがたくさん来ていたという。いやはや。

デマや流言は時に殺人まで引き起こす、関東大震災時の「朝鮮人が井戸に毒を入れた」とのデマに憤った人たちが殺害しなんとその数は震災死の1%以上1000人を超えるだろうと言われている。東日本大震災ではそのようなことはなかった。私たちは歴史に学ばねばならない。大規模流行感染が今後起きたときに「感染者が自殺」はデマだと思うようにしよう。

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