2024年1月10日水曜日

スキルス胃癌でも5年以上生きている

医局会でのレクチャー発表担当は外科のキブンDrだった。5年半前に末期の進行胃癌(スキルス癌)StageⅣと診断され、どうにか胃の全摘手術を受けられるもリンパ節転移多数(なんと23個のリンパ節に転移が確認された)でとても延命出来そうになかった60歳代女性が抗がん剤の治療が上手く行き長期生存しているという。この人の胃癌はHER2(ハーツー)陽性というタイプ(HER2とはがん細胞の増殖に関係するタンパク質)で、このタイプに効く分子標的薬(癌の増殖などに関係する特定の分子を狙い撃ちする薬)のトラスツズマブという抗がん剤が奏功したということだった。画像とともに腹腔内のリンパ節や病巣が縮小していくのがよく分かった。胃癌の専門家であるラブカメ先生も「素晴らしい」と感心していた。↓は切除胃と転移した周囲のリンパ節画像。


しかし驚いた。おそらく半年は持たないだろうと思われる所見だったよ。その人の胃カメラは私がしたのかな?いや、調べたら非常勤のエイエイコーDrだった。ただ、病理結果説明は私が行い、すぐに外科の先生に紹介し後を頼んだんだった。とりあえずは手術など治療してもらうが、たぶんダメだろうと思っていたはずだ。幸い抗がん剤の効きが悪くなるといった作用も起きず、5年を経過したので治療終了も本人に打診したが「まだ続けさせて」と治療継続しているという。

HER2陽性の進行胃癌は胃癌の中でせいぜい15%くらいしかいないらしい。HER2陽性の場合は一般にたちが悪いものが多いそうだがトラスツズマブがこんなに奏功するならすぐに諦めることはない。今から60年近く前、スキルス胃癌と診断され2ヶ月後にはあっという間に亡くなったアキネー母さんも今の時代なら少しは希望が持てたのか・・。ふむ、来週の朝礼スピーチは人生の節目シリーズにするつもりだったから、その頃自分や自分の家族に起きた波乱のエピソードをもとに話してみよう。うし!テーマが決まれば後はどうにかなる。その前にちょいとネット麻雀でもやってみようか。ふふ、こんな調子だから毎回あたふたするんだけどナ( ・_・;)。

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