この前の朝礼スピーチの感想文が届けられた。
「幼い頃に大変な目に遭っているのに良く成長され家族への感謝を忘れずにいるところが素晴らしい」といった内容が多かった。また「可哀想な話なのに笑いが起きるスピーチなのが良かった」とか「ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の『破約』をさっそく書店で探します」や「自分自身も母親の死や出会いで、看護師になれたことを思い出しました」というのもあった。また「 幼少期に実母を癌で亡くされ、父親も船の事故にあうなど多くの困難があったことに驚きました。困難を乗り越え、医師免許を取得し、素晴らしいと思いました」にはちょっと面はゆい気持ちになったが、まあ私の親戚ならその意味が分かるだろう( ・_・;)。
ハーンの「破約」は単独では探せないかもな。小話集の「怪談」で探せばきっと見つかると思う(実際は「怪談」の中にはなく「奇談」として角川文庫には収められている)。
「怪談」では昔、英語の教科書に「ムジナ」が出てきていて、最後のオチの「こんな顔ですかい」がやはり面白かった。「ろくろ首」や「雪女」は定番で「耳なし芳一」もこの「怪談」から世に広まった。この本、今はカールに貸していて「『食人鬼』を読んだところ」とか言っていた。ふむふむ、どんな話だったかな。全部読んではいるのだが覚えているのは半分もない。その中で「破約」は覚えていたから今回のスピーチに使おうと思ったのだ。それだけ印象深い話だった。このハーンの小話集を読んで一番印象に残っているのは怪談の不思議さや面白さよりも文章の美しさだ。角川文庫では訳者の田代三千稔(たしろみちとし:ラフカディオ・ハーン研究家)の訳も良かったが原文もきっと素晴らしいのだろうと思う。日本人ならこんな日本語を使うべきと外国の人に教えられた。ともかくも100年以上も親しまれていてもはや古典だ。中学生以上の日本人にお勧めの本である。
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