2022年4月26日火曜日

碁狂老人に娘面会希望す

この前退院し病院隣の老健へ転所になったオマルさんの娘さんが「どうしてもお礼が言いたくて」と面会希望していた。内視鏡検査中ではあったが、そもそもオマルさんに娘さんがいたというのは初耳で、それはこちらこそ会ってみたいと思い、すぐに面会となった。

痩せぎすのオマルさんとは打って変わってややふっくらとした丸みのある主婦という感じで、現在は埼玉に住んでいて父とも最近は会っていなかったそうだ。病状を説明するとメインの病状はある程度聞いていたが、そのほかの病気は「え、そうだったんですか」と初めて知ったとのこと。それに私が勤務外の時は囲碁の相手をしていると教えると驚いていた。聞けば50年ほど前に1回だけ鹿児島の代表で全国大会に行けたことがあったという。いわゆる県代表レベルの打ち手だったのか。なるほど今でも病室や老健の部屋で常に碁を打っていてそれが半世紀も変わっていないということに驚く。ただ、今は私に互先で勝ったり負けたりだからさすがに腕は落ちているわけだが、一局打つと1回や2回はハッとすると手を見せられ、かつて実力の片鱗が伺える。

で、娘さん、老健へ父への面会を申し込んだが、県外から来ているのでと断られたという。しかし彼女は2日前にはコロナ検査を受けて陰性を確認していた。今日埼玉に帰る予定になっていて、今回会えないともしかするともう一生会えないかもと肩を落としている。それはいけない。私は老健に電話をかけ、コロナは問題ないから今すぐにでも会わせてー、と頼んだ。

そんなワケで、帰りがけにわざわざ老健に寄ってオマルさんと碁を打った。「娘さんに会えましたか」と尋ねると「うんうん」と頷き、それよっか早く碁を打とうという態度だ。いやはや。互先黒番6目半コミ出しで私が黒番が当たり、久々に2連星の布石で対戦開始となった。

それからなんと2時間15分もかかって一局が終わった。整地して黒48目、白40目。コミを計算して黒番私の1目半勝ちとかなりの接戦だった。いやー、途中は私の楽勝と思っていたがオマルさんの追い込みにちょっと油断もあってかろうじての勝利だった。
90歳過ぎても碁を打つのが楽しみという碁狂老人。私も麻雀に劣らず囲碁は大好きだが、オマルさんの領域には達せられない・・と思ったわ。

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