一連の「ジャニー喜多川性加害問題」を見聴きしていろいろと思うことがある。
まず驚くのが、ジャニー喜多川が行った性加害は数百人にも上るとの第三者報告があったが、実際はそれ以上であろうということだ。プライベートな合宿所だけではなくみんなが見ているレッスン場でもあからさまに股間を触るなどし、それを周囲は何も言わない言えない雰囲気であり、性加害はほぼ毎日行われていたそうだ。1965年に週刊サンケイが初めて性加害報道を行い、1988年から数回に渡って元フォーリーブスの北公次が暴露本を出し、1999年に週刊文春が報道キャンペーンを展開し、結果裁判で事実と認定されたことは、まさに事実であったから知っていたが、1950年代から小学生(服部良一氏の息子当時小学2年生)にもオーラルセックスを強要していたこと、彼が80歳を過ぎても性加害を続けていたことなどは知らず、本当に驚いた。思うのが、多くの報道関係者がこのことをほとんど取り上げなかったためにこれほどの性加害を生んだということだ。ジャニー喜多川やジャニーズ事務所だけが問題ではないということ。それはジャニーズ事務所という怪物を生んでしまった芸能界という業界の問題、いびつな構造がありながら是正出来なかった報道界の問題、はてはそれらを許してしまっていた日本の社会、ひいては日本人の性質の問題まで広がっているのではないかということだ。
アメリカではマイケル・ジャクソンでさえ都合の悪い写真を隠蔽することは不可能だった。しかしジャニー喜多川はそのプロフィール写真をほとんど撮られていないし、また撮られても公表されることはなかった。もしそれをTV局や出版社がそうすればジャニーズ関係の仕事がなくなることを意味していたからだ。明らかな犯罪を犯している者(喜多川)、それをかくまう者(事務所)にとっては好都合だったことだろう。「うちの子のスキャンダルを取り上げたらうちのタレントは出せません」「他事務所のアイドルを出すのならうちはおたくには出せません」これらはジャニーズ事務所の圧力としてよく聞く話だ。
これらの圧力の仕方は、あの北公次の暴露本第2弾「光GENJIへ再び(1989年)」の中に書かれているそのままの文章だ。30年以上前となんら変わりない。その本は↓の写真にあるとおりで、長いこと放置してあったせいで帯もあったが半分ちぎれてしまっている。でもこの本が中古市場で今1万円近くするとはねぇ。帯には「・・殺したい!!」とぶっそうな文言が記されていてその答えはちゃんと本文にある(誰かは分かるよね)。さらにびっくりする内容もあり、それは現事務所の重鎮のことだ。合宿所を飛び出して辞めた14歳少年の手紙が紹介され「・・・北さんはジャニーさんにやられたそうだけど、僕は〇〇隊のXXXさん(名は明かせないが方角名が入る)にホモみたいなことをされたんです。聞いて下さい!XXXさんはテレビとはちがってすごいいやらしくって、いつも僕の裸や風呂をのぞきにきたりするんです。・・・僕が風呂に入ってくるときに、XXXさんが僕のあそこをあらってくれたんです。いやだというといじめられるし、悩みました。・・・(本文44ページ)」いやはや、上が上だと下も似たような行為をするものなんだろうか。この本、具体的にジャニー喜多川にヤラれた超有名アイドルらの名前も実名で書かれてある。もっと衝撃的だった第1弾の「光GENJIへ」など2万円近くもするらしい。今になって注目を浴びているんだな。これらの暴露本、私持っているけどどうする?
実はこの第2弾、私はまだ読んでいなかった。第1弾に衝撃を受け、これもつい買ったのだが、ジャニー喜多川のいやらしいを通り越してあまりにひどい行為をまた読むのかとついつい放置してしまっていた。しかし昭和に活躍した北公次の訴えを綴った文は令和の現代もそっくりそのまま使えることに驚き感心もしている。
ジャニー喜多川には功績があるという意見もある。しかしおぞましいまでの性加害の実態を知るにつれそんな意見は今や無視していいとさえ思える。(ジャニー喜多川の肩をあからさまに持ち、批判する人たちに辛辣な意見を述べたデビィ夫人は今後おそらくTVに出られないのではないか)そしてその事実を何十年も隠蔽出来て表沙汰にさせなかった巨大な力を一芸能事務所が持つことが出来た日本のシステムに今後何らかのメスを入れる必要があると思う。そこを書きたいがテーマが大きくもあり、それにちょっと疲れた。私は本来ジャニー喜多川の話題はあまり好きではないのだ。またその気になったら書くかもしれない。今言えるのはジャニーズ事務所のこの前の記者会見での対応はかなり生ぬるかった。近々また会見をするらしいが、少なくとも事務所名は変えるはず。そして抜本的に改善、もしくは解体すら視野に入れて対処しないと、このままではつぶれても仕方がない、そう思っている。
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