2023年9月14日木曜日

伊吹いりこ

明け方、ぼうっとNHKの番組を眺めていたら、瀬戸内海にある島が出て来ていた。伊吹島(いぶきじま)と言っていた。島民が漁に出て行くシーンがあったが、2隻の船がそろって海に向かい途中で分かれて網を出した。ぐるっと回って網を回収に入ると小さな魚がいっぱい揚がってきた。なんて魚?カタクチイワシだという。そして回収した魚を一つの運搬船で網元がある伊吹島へ向かうのだがこれがものすごいスピードなんだ。何でそんなにスピードを出すん。これには理由があった。

実は伊吹島って「いりこ(煮干し)」作りで有名で「伊吹いりこ」というブランドがあるそうだ。鮮度が高いうちに釜茹でする必要があり、漁獲から加工までなんと約30分という超スピードだ。カタクチイワシの大きさに合わせて乾燥時間を調整することで、苦味の元となる脂分が少なく仕上がり、煮干し界の最高峰ブランド日本一なんだそうだ。このように漁獲から加工まで一貫して伊吹島で行う体制が出来ている。讃岐うどんの出汁にも濃厚で旨味がいっぱいの“イリコだし”が欠かせず、さぬきうどんの文化は伊吹いりこあってこそとのこと。へーーえ、全く知らなかった。
美味しそうな伊吹いりこ↑。断末魔↓のような格好のいりこも。
煮干しにそんなに興味はなかった私でさえ「美味そう、食ってみてぇ」とつぶやいたほどだ。ただカタクチイワシの中でも脂の乗ったものは常温で煮干しにして流通させると酸化して味も落ち日持ちもせず値段が付かないという。普通の魚は脂が乗ったものが良いのになんとも皮肉な事実だ。最近は平成に入って海の栄養が豊富になりすぎ太ったイワシ(脂イワシ)がとれるようになり最盛期の昭和後期に比べ漁獲量が減っているという。そこでこの脂イワシどうにか活用出来ないかと、3年ほど前に伊吹島の15の網元が中心となって、試行錯誤して「脂イワシ」の冷凍製品を作り出した。実は、乾燥させずに食べると、脂の部分がおいしい「脂イワシ」。塩ゆでしたイワシを、冷凍させて「脂のうま味を楽しむ」という、いわば逆転の発想だ。
ペーストにしたイワシのうま味と栄養を、カレーのルーのように小さくまとめたもので、計量せずに調理できて、「魚の目や頭が怖い」という子どもたちにも好評なんだとか。あはは、私には「美味しそう」と見えるいりこは子どもには「怖い」と見えるのか。

もう一度動画を見てみたいと思ったが、深夜の地上波はタイムシフトマシンでも非録画時間にしており残念。見逃し配信もしばらくないようだ。そんなわけでせめて「こてる日記」にはとどめておこうか。

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