2023年8月26日土曜日

死者への電話

この日の土曜は朝から病院勤務、そして夕方からまた病院当直と、忙しい日になった。

そんな中、入院中のある超高齢女性患者の病態が思わしくない件で家族に電話をした。いくつかある連絡先で掛けたのはキーパーソンの一人の長男へだった。しかし出ない。ま、たまにあることだ。留守番電話になったので「お母さんの状態のことで連絡しました」と話し始め、簡潔に病態が思わしくないことを伝えた。

それから5、6分経った頃、私のピッチに折り返しの連絡があった。女性の声だった。まずは患者名を確かめ、間違いないことで詳細を語ろうとした。しかしーだ。相手の名前(長男氏)も念のため確認すると、その家族と思われる女性が「〇〇(長男氏の名前)は昨日亡くなりました」だと。「え?!」しかし思い出した。10日ほど前電話で長男氏と語った際、「私も末期状態で今年いっぱい体が持つかどうかで」と自身の病気がひどいことを言っていたのだ。

家族女性から「私どもも通夜、葬式がありまして・・どうかもたせて下さい」とお願いされた。「ええ、わかりました」と電話を切ったが、いやはや母親も1週間は持ちそうになく、少なくとも2、3日はもたせなきゃと気合いを入れた。

新聞の死亡広告欄をみると、確かに長男氏(70歳代)のことが出ていた。土曜が通夜、日曜が葬式だった。で結局、月曜の朝その母親は静かに息を引き取った。後数年で100歳になろうかという年齢だった。三男家族他が来院し看取った。

土曜は従兄(70歳)の義母94歳の葬式があってカールに行ってもらっていた。私の受け持ち患者に90歳以上は5人もいてまったく珍しくない。中には101歳もいる。超高齢化社会の日本では70歳代でさえ亡くなると親より先に逝ってしまうこともままある。病院や介護施設などその超高齢化社会の波をもろに被っているところなのだ。

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