2023年8月28日月曜日

ネコ支援カンファレンス

入院中の主に高齢患者で治療が一段落したはいいが、すんなり退院させづらいケースがある。そんな時、Dr、Nsだけでなくソーシャルワーカーやリハビリスタッフ、家族が集まって今後の治療、ケアの方針を検討する会議を行う。それを支援カンファレンスという。

今日の午後、94歳の高齢女性の支援カンファレンスがあった。その人は独居生活が長く、長男は鹿児島にはおらず福岡からその嫁さんが出席した。来院時からするとすっかり元気になり近々回復期病棟に移って退院を待つと言うところまで来ていた。しかしその年齢で独居生活に戻すのはまた今回のような体調不良を起こしかねない。今後は回復期病棟でリハビリ訓練した後、有料老人ホームでの生活をしていただこうとなった。そしてほぼカンファが終わりかけた頃、私がひとつ気になっていたことを尋ねた。

「ネコはどうするんです?」

それにみんなが反応した。実は患者が救急車で運ばれて来た時、本人は自分の具合が相当悪いのに「ネコがいるから入院はしたくない、帰してくれー」と言っていたのだ。なんでも10年くらい飼っているネコが心配で仕方ないようだった。そしてそのネコは家からいなくなってしまったとのことだった。それで地域の人たちが捜しているとも。そのお婆ちゃん患者は「まだ小さい頃、私がグランドゴルフから帰ろうとしていたら、カラスにいじめられていたのを見かねて拾ってきたんだよ〜。私がいないとネコが可哀想だぁー」とも。分かるねぇ。独居といってもネコがいたからそんなにさみしくはなかったのかもしれないし、ほぼ家族として接して来たわけだ。

会議に参加していた職員らも「そう、ネコはどうなったんです」と気遣った。すると、嫁さんが言うことには、近所の人たちが家の近くにいるのを分かっていて、ずっと外にいたのを監視した後、自宅の戸や窓を開けっぱなしにしていたら自分で入って来た。そのタイミングで全部閉めて後は家の中でエサを上げていた。そして今は動物病院にも連れて行き保護を頼んでいる。自分が福岡に帰るときにいっしょに連れて行きます、とのことだった。長男宅もネコを飼っているらしい。そうか、それなら安心だ。

「ネコは無事で今後も安心」と教えようとしたが難聴のため、手書きの紙で教えてあげた。

動物病院にいるネコの様子が↓。
そのスマホの写真を見せてあげるとニコッと笑った。
まさにネコは家族の一員なんである。

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