2021年12月15日水曜日

大腸憩室止血が最短で終わった

最近内視鏡検査が多いのは、胃や大腸の検診結果が地域住民に届く時期からなのだが、下血患者が多いせいもある。この時期、虚血性大腸炎、大腸憩室出血など増える印象だ。

昨日の当直のコジロDrから「先生、お願いします」と言われた患者さんは70代女性で、下血のくり返しがあるとのことで未明に救急入院になっていた。腹部CTでは大腸憩室が写っていてそこからの出血でなかろうかとのことだ。それならば私が専門だ。主治医を引き受け絶食点滴にして、夕方に大腸内視鏡を予定した。実は昨日も東洋Drから「下血でほぼ間違いなく大腸憩室出血の患者さん」を大腸内視鏡依頼され、緊急ゆえ前処置なしで実施し、確かにそのとおりも、出血源憩室は特定できずに終わっていた。

また昨日のようにならなければいいがー。ただ、今度はしっかり前処置を行っての検査だから出血源特定の期待が持てるか。そんなつもりで挿入していったら、なんと一発で出血源が分かった。上行結腸を観察中に一つだけ凝血付着のある憩室があった。「お!これは」と近づいて送水してみると紛れもない露出血管が憩室内にある。↓参照。


「なんてラッキー!」これは患者さんも私たちもみんなラッキーだ。憩室出血ではその出血源が分かるか否かがすべての分かれ目。分かれば治療はスムーズに行くしその後も安心だが、分からなければ絶食点滴安静くらいしか方法がなく、常に再発の危険性(実際かなりある)が残る。

出血源分かれば後はお手の物で、クリップで露出血管を仮に止め、その後スコープを入れ直し、内視鏡室的にゴムバンド結紮法(EBL)を実施した。これをすれば再発はほぼ100%なくなる。最初の挿入から全て終わるまで25分くらいで終了した。憩室出血の結紮治療では最短の時間といってもいい。

矢印↓が憩室ごと結紮したゴムバンド。

あまりにもうまくいったので、この患者さん前世でなにかいいことでもしたのか?とさえ思った。こういうことがあると検査を行う側も元気が出るというもの。内視鏡室検査医冥利につきるってネ。

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