2020年1月11日土曜日

長谷川先生が長谷川式を受けたら

長谷川式簡易知能評価スケールと言えば認知症のテストで現在ではHDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)と呼ばれ認知症のスクリーニング(ふるい分け)に医療現場で頻用されている。

質問項目は以下の9問で、見当識(時間、場所、状況などの認知)や、記憶に関することを聞き、正しくできたら1点、できなかったら0点などと数値化し、30点満点中20点以下の人は認知症の疑いが高いと判断される。回答にかかる時間は、だいたい10分以内だ。

1) 年齢

例:お歳はいくつですか?
2年までの誤差は正解とみなします。

2) 時間

例:今日は何月何日、何曜日ですか?

3) 場所

例:今、私たちがいる場所はどこですか?
場所の名前や住所まで言えなくても「病院にいます」「施設にいます」などと答えられれば正解とみなします。

4) 3つの言葉の記憶

例:「これから言う3つの言葉を覚えてください。あとからまた聞きます」
このように言って、「桜・猫・電車」または「梅・犬・自動車」のどちらかを覚えてもらいます。

5) 計算

例)100引く7はいくつですか?

6) 数字を覚え、逆順に復唱する

例:次の数字を逆から言ってください。2、8、6。 

7) 3つの言葉の思い出せるかどうか

例:先ほど覚えてもらった3つの言葉は何でしたか?
質問4で使用した言葉を、もう一度言ってもらう。

8) 5つの品物の名前の記憶

例:これから5つの品物をお見せします。それを隠しますから、何があったかを言ってください。
時計、消しゴム、鍵など無関係のものを5つ用意し、名前を言いながら目の前に並べます。並べ終わった1つずつ手に取って「これは?」と聞き、正しく答えられたことを確認してから全て隠します。その後、何があったか言ってもらいますが、思い出す順番はどうでも構いません。 

9) 言葉の流暢性(素早く、数多く言えるかどうか)

例:知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。
6個以上答えられたら1点ずつ加点します。 

作った人は精神科医の長谷川和夫先生で1974年に発表されているから随分と以前のことだ。その長谷川先生が今日NHKスペシャルでTVに出ていた。まだ存命であったことに驚いた。満91才でかくしゃくとしておられた。ところがTV画面には「認知症の第一人者が認知症になった」と出ているではないか。へーっ!でもしっかりしゃべりも出来るし典型的な認知症には見えない。2年ほど前に発覚し、本人は最初「自分はアルツハイマーではないか」と思ったそうだが、嗜銀顆粒性認知症という聞き慣れない病名だった。長谷川式を受けたのかという質問には「いいや、受けなかった。だって私は全部答えを暗記しているから役に立たない」だと、なるほど。別の専門医に診てもらって今の診断が付いたという。


先生は「今の暮らしについては、毎日新鮮な気持ちで過ごしています。認知症になったからといって、最近の新しい出来事をすべて忘れるわけではないんですね。新しい出会いもありますし、新たに興味を持つこともあります。認知症になっても、今までと変わらない部分もたくさんあることを知っていただきたいです」と言う。今では80才90才まで生きる人が多くなり認知症になるのが当たり前にもなった。先生を見ているとこんな認知症なら受け入れられるなって思った。あと20年後か30年後か認知症になっても嫌がらず受け入れるように今から心しておこう。

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