2018年5月25日金曜日

なぜお酒を止められたのか

アルコール依存症の中年女性が外来診察に来た。以前からアルコール依存はあり今年1月の入院治療以降は毎月きちんと外来に来ている。この、毎月受診しているというだけでこの患者さんが比較的良好な状態にあるということが分かる。コントロールできていないと人は受診しなくなる。採血結果は悪いだろうし、先生に叱られるあるいは説教されると分かっているから・・。

今日は見るからに栄養が以前よりついていると分かるくらいで、本人は「8kgも太ってしまってー」と良くないような物言いだが、そんなことはない。ガリガリで肌色は悪く見た目も不健康そうだった。アルコールは?と尋ねると「一切飲んでいません」と即答だった。ほう、それはいい。ただ油断して「コップ1杯、一口がすべてを台無しにしますよ」と言うと「分かっています。ただ旦那が『一口くらいいいだろう』なんて言うんです」「それは旦那はいかん。それが依存症の人を一気にダメにしちゃうんだ。今度会ったらそこはきつく注意しときましょう」「今じゃ、お酒の匂いもちょっと気分悪くなる時があります」などと言うので、ずいぶん変わったなと思った。

すると、「正月に入院した時、いま福岡の大学に行っている息子が『今度、お母さんが飲んだらもううちには帰ってこない』と言われたのが応えました。そのセリフを思い出すと我慢できたんです」と。

すごい。母の愛情はお酒より強し!

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