2018年5月26日土曜日

憩室でお呼ばれ

実は先日の大腸憩室出血、まだ続きがあった。二度目のゴムバンド結紮法で止まっていたかのようにみえたが、「午後にまた出血した」と、休日で自宅でのほほんとしていた私に連絡があった。下血の様子を聞けばまた再出血したに違いない。夕食を食べて前でそれを済ませて高速で病院に向かった。アサリンNsがオンコールで来ていた。

大腸内視鏡で覗くと結紮ゴムはまた外れている。どうにもこの人のS状結腸の粘膜は十分に吸引しきれず緩んでしまうようだ。ならば基本的な止血法のクリップでやるしかない。ところがクリップを2個ほど掛けたところで、実はきちんと露出血管に掛かっていないことが分かった。また出血が始まったのだ。(↓カルテ記載より)
こうなるととんでもない量出てくるのでどこが出血源か分かりやしない。大腸憩室出血ではよくあること。だからみんな憩室出血を嫌がる。私も以前はそうだった。このままあきらめてもいずれ自然止血してくれるがその場合再々出血の危険も残り夢見が悪い。ここで高張エピネフリン液(HSE)を局注し、まずは出血を和らげた。血糊を吸引、洗浄してから改めてクリップをがんがん掛けた。
出血が止まるとそれもまた出血源がはっきりしない。まったく憩室は治療しにくい。どうにか血管に掛かっているのを祈り、手技を終えた。結局2時間近くを要した。この前「19分で終えたぜ、こんなに早く終わるのはないわ」と自慢したのはもう撤回したい。

憩室がやりにくい部位にあったこともあるが、反省点として吸引結紮時の吸引力設定が今回弱め(7/10)にしていたのが良くなかった。次回からは最強(10/10)にするよう心がけよう。憩室出血との戦いはまだまだ続くのである。

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