2018年5月22日火曜日

ヤクザの論理

今日は午後早帰りで帰りの車中、日大アメフト部員の宮川泰介君の謝罪記者会見が開かれていた。2週間くらい前に日記ネタにしたものがどんどん騒ぎが大きくなりTVでは毎日こればかりという状況になっている。会見では、監督やコーチの指示で相手QBを「つぶし」にいった、それは怪我をさせるという意味だと明言していた。言葉を選びつつもそれが本意ではなく圧力を掛けられたからであるというのがひしひしと伝わってきた。それなのに自分にも責任がある、もうアメフトをやる権利はないと苦渋の表情で謝罪をしていた。

いやー、大勢の記者たちを前にまだ20才だというのに真摯な姿勢を貫きある意味立派だったねえ。こうなると日大側にとってかなり不利な事態だ。いわゆる内輪(ヤクザ)の論理が白日のもとにさらされ社会の論理で断じねばならなくなる。どういうことかというと、ヤクザは親分もしくは直接の幹部に「(敵対する)組員のタマ(命)を取ってこい(殺せ)」と言われるとそれが社会的には悪いと知りつつも組織内ではいいことでそれに従ってしまう。日大アメフト部はヤクザの論理で動いていた、いや動かされていたとみる。

宮川選手は反則退場後、テントの中で号泣していたという。本来絶対にやらないようなプレーをしてしまった(やらされた)自分を責めていたのだろう。記者に「今、もしその時に戻れたならどうしたか」という酷な質問を受けてうまく答えられなかったが、それはヤクザの組員に組織の命令に背けたかと言うようなもので無理だったろう。「アメフトをやめる」とは「ヤクザの組員をやめる」という心境か。いや、日大アメフト部がヤクザ組織であって他のアメフト部はそうでないとしたら彼はアメフトそのものをやめる必要はないと思う。

これが本場アメリカだったらNCAA(全米大学体育協会)が絶対に黙っていないそうだ。まず内田監督以下全員辞職勧告され大学側もこれは拒めない。それくらいの権威があるとのこと。一例でいうと、2011年のペンシルベニア州立大学のアシスタントコーチが15年間にわたり8人の男子学生に性的虐待をしていたというスキャンダルではそこの有名監督(歴代最多勝利監督だったそうだ)もその事実を知っており隠蔽工作に加担していたとして単なる辞任を許さず、大学には制裁金48億円、知り得た時点からの勝利数も剥奪、スタジアムの銅像まで撤去させられた。さらに4年間に渡ってプレーオフ進出禁止と毎年10人分の奨学金停止も通達したそうで、大学側はトップも解任して一からの出発を選ばざるを得なかった。

NCAAはフットボールやバスケなど大学スポーツがプロ並みに人気がありTV放映権など収入が莫大でそれだけのことが出来るのだろう。日本にもそれを真似た組織を作ろうという動きがある。ただ、箱根駅伝など一部のスポーツは人気があるがアメリカとは事情が違いすぎ、実現はかなり厳しいかも。そうはいっても今回の日大のような組織がはびこっているいるのなら改革に向けての動きとして日本版NCAAのようなものが出来たらいい。宮川選手の会見もその一端を開くきっかけになったら浮かばれるだろう。

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