2017年12月13日水曜日

増元信子さんの死

夜、ニュースをぼーっと見ていたら、ハッとして飛び起きた。北朝鮮拉致被害者の増元るみ子さんの母親が昨日亡くなったと通夜の様子が出ていたからだ。いつもなら「へーえ」と見過ごすのだがその母親の名前は覚えがあったというか、つい一昨日のこと、私が病院内で検査し処置し息子さんに病状説明した患者だったからである。昨日の朝亡くなったことも知っていたが、拉致被害者の母親だってことを私は全く知らなかった。主治医は他科Drで検査を頼まれるも状態が悪く途中で検査は中止し必要な処置まで行い、長男さんに「残念だがここ1日2日もつかどうかです」と話した。すると「こてる先生には病気を見つけてもらったときもお世話になりまして・・」と言われ「ええ」と返事はしたがそれも去年のことで覚えていなかった。長男さんは今思えば見たことある人だった。

いやー、まさか亡くなって全国ニュースになる患者さんを診ていたとは。でも知らずに診療していてよかった。本来はそんなことは余計なことなのだ。検査時に具合が悪くなって処置が必要なため「増元さん、分かる?今からXXするからねー」と言うとうんうんと肯いてくれ、私の言っていることは理解していたようだった。病室に帰った後は、主治医が長男さんに詳しく病状説明していた。でも結局、娘さんの帰国を40年近く待ちわびながらも高齢と病気には勝てなかった。

増元さんやその家族にとってその死がニュースになるよりもならない方がずっと幸せだったはず。普通の人生を送れることがいかに貴重なことか、だ。

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