2025年2月7日金曜日

紹介患者ですか、はい診ましょう

今日は外来担当日だ。

朝の各部署報告を受けて、病棟患者の指示出しなどしていると、地域連携室の床杉さんから「整形外科病院から腰椎の圧迫骨折の高齢女性の入院を受け入れて欲しいそうです」との連絡があった。満床で受け入れ出来ないそうで、OKしておいた。その直後、すでに外来業務を始めている可愛いんだ理事長から「胆道系酵素異常があって総胆管か膵臓に腫瘤がありそうな人のERCPは出来ないか」との打診があった。これには即答出来なかった。すでに黄疸があり内視鏡処置が必要なら受け入れて入院&ERCP予定としたいが、単に診断だけではERCPはしたくない。すでにMRCP(MRIでの胆膵検査)が済んでいて診断のためだけにやるERCPは労多くして益少なしと思うからだ。それに膵腫瘍があるならばすでに消化器外科の範疇で大学病院への紹介が優先だろう。てなことで、やんわりとお断りした。

これが今日の怒濤の外来の端緒だった。この後、午後までずっと小難しい紹介患者と救急患者を診る羽目になったのだ。

某精神科病院入院の高齢女性の肝機能が悪化していての精査依頼、在宅クリニックから「呼吸状態が悪化してぐったりしている」との救急依頼、泌尿器専門クリニックから定期腹部エコーで胆嚢に結石充満し右腹部痛があるから精査加療依頼、循環器内科から90歳代で黒色便があってヘモグロビンが最近低下した人の精査依頼、同様症状で糖尿病内科からもタール便でヘモグロビンが低下した高齢女性の精査依頼、高齢施設から水様便が続いている90代半ばの女性患者の診察依頼と午前だけでこれだけ診察&検査をせねばならない状況だった。

こんな場合、いちいち問診、診察、検査、治療指示と順を踏んでいてはままならない。先に採血指示し、他にCTなどの指示も出しておく。内視鏡が必要なケースはもう受け入れいっぱいという内視鏡室に数名を強引に組み込めたが、貧血の患者二人のうちの一人は潰瘍の治療を数日出し今度の月曜に胃カメラを予定しいったん帰らせた。そのうち肝機能異常の患者は急性肝炎とは分かるも原因は不明、しかし重症ではないので精神科病院に電話を掛け、しばらくはそちらでの入院継続を頼んだ。付き添いの姉の高齢女性はその対応に感謝してくれた。救急患者はそのぐったりぶりから検査結果が出る前に「これは入院加療が必要でしょう」と受け入れた。これは後で重症肺炎と判明した。胆嚢結石と思われた症例はそれもあったが総胆管結石があってこれは私たち消化器内科で入院しそれこそERCPが必要だ。ただ症状が軽く、採血結果も特に異常がなかったので「来週月曜外来にまた来てもらってもう一度診察を受け、入院するかどうかを決めましょう」と説明し、カルテには「ダヒロ先生、入院担当よろしく」と主治医をゆずった(押しつけた?)。そうだ、腰椎圧迫骨折の患者が入院のために到着したと聞き、これはタクミDrに連絡し「重症呼吸困難患者と総胆管結石患者と腰椎圧迫骨折患者の3人のうちどれか1人を引き受けて欲しい」と頼むと、こちらの思惑どおり「じゃー、圧迫骨折で」と引き受けてくれた。へへ、それが一番治療するには楽なのは分かるよ。水様便患者は大腸内視鏡が必要だが予定がいっぱいだったので、採血と検便の他肛門から直腸だけを内視鏡で今日診ましょうと午後に私が診ることにした。

ふう、これの後、肺炎患者の入院指示を出し終え13時過ぎになり、どうにか昼食を摂ることができた。その間、もう一人救急患者がいたのだが、さすがに私が診ることは出来ず、外科からの非常勤ケイブンDrに診察を頼んだ。これが肺炎で入院になり、また私に「入院担当医を決めて欲しい」と来たので、タクミDrに月曜からの担当を依頼しておいた。昼休みに、近隣の消化器内科の後輩Drから「検査依頼の患者紹介の電話が来ている」と連絡があった。これには私は出る気がしなかった。実は夕方から県庁で「鹿児島県地域医療対策協議会」という会議が組まれていて実質16時以降に患者を診るのができない状況だったのだ。まだ内視鏡検査や午前患者の結果待ちもいるしー。で、これもケイブンDrに診てもらうよう受付に頼んでおいた。

さて昼から内視鏡検査を2件しようと思ったら、近隣の泌尿器科クリニックから「抗生剤点滴や内服で治療するも炎症反応が高値で治らない。青雲会病院で精査加療して欲しい」と紹介状付きで患者が来ていた。はぁ・・。午後にこうした精査依頼患者が来るとどっと疲れる。私とケイブンDr以外は検査か手術に入っていて他に診るDrがいない。しようがないんで採血と胸部腹部CTを指示して内視鏡室へ向かった。検査をした2人はいずれも重症ではなく内服でどうにか治りそうで何よりだった。終わって、先の患者の検査結果が出ている頃と診てみると・・CRPは10以上で白血球も多い、確かにどこか炎症が隠れているんだろう。肺野は・・正常だ。腹部は・・なんだこれ、左の水腎症があってその原因は尿管途中に引っかかった7.5mmの尿管結石があるじゃん。それで腎盂腎炎を起こしているんだ。結石を排除しないと点滴や薬だけでは治りにくいはず。これはうちの泌尿器科に院内紹介かと本当にそう思った。しかしだよ。送ってきたのは泌尿器科クリニックそのものじゃーないか。おたくが専門でしょこんな症例は。↓ピンクが尿管拡張し腎内に液が貯留し、黄色がその原因となった尿管結石。

これはちょっと恥ずかしいだろうな。例えれば、私が他院に「貧血の原因を調べて欲しい」と頼んだら「胃潰瘍からの出血が原因でした」と言わたようなものだ。患者に尋ねたら「CT検査はしてませんでした」と。だろうね。していれば専門外の私でも分かるくらいはっきりしている。「灯台もと暗し」パターンだった。「そちらで治療を」と返書を書いて渡したよ。ふふ。

結局、入院で私が担当になったのは患者は1名のみ。他のDrに割り振ったり、後日に精査を組んだりしてどうにか乗り切った。17時には早めに病院を出て鹿児島県庁に向かった。この会の参加者は、鹿大病院長及び医学部長、鹿児島市立病院長、国立病院長、医師会病院長、鹿児島県医師会長及び副会長2人などそうそうたるメンバーに交じって一地方病院長の私が参加になっていた。前任のシマッチ元院長から「年に数回、お偉方が集まる会議が県庁である」と聞いていてまさしくこれだった。ほんとはこっちを今日の日記ネタにしようかと思っていたが、ここまで書いて疲れた。各院長先生方もそれなりに忙しいんだろうが、ここまで臨床で忙しかったのはたぶん私だけだったかも・・とは思ったですよ、ハイ。

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