スキルス胃癌は番組では「通常の検査で見つけるのが非常に難しく明確な原因はいまだに不明だ」と紹介していたそうだが、実際はほとんどの人が原因はピロリ菌だとほぼ判明している。そしてなぜか比較的若い女性に発症しやすい。私の身の回りでもアキネー母がそうだったし、20年以上前に青雲会病院受診した30代前半の看護師さん、2内科にいたラボチンのおねえさん、そして堀江しのぶと皆20代から30代前半だ。この中で30代の看護師さんだけは胃を全摘してどうにか助かった。その時の胃の粘膜のスライドを顕微鏡で見てその荒廃っぷりにびっくりした。ピロリ菌は感染が持続すると胃の粘膜を荒らすのは皆共通なのだがその人のは通常の荒れ方ではなかった。大多数の人はピロリ菌に感染しても軽い胃炎を起こすくらいで一生癌に罹ることはない。一部の人が普通の胃癌に罹り、その中のごく一部がスキルス胃癌に罹る。20代では普通胃の検診は受けないし、ちょっと胃が痛くても胃カメラまでは受けないだろう。発症してから半年で広がってしまう癌でもあり発見が困難なゆえんだ。
今では癌に罹っても本人に告知するのは当たり前だ。だが1980年代はまだ告知率は10%くらいじゃなかったかな。事務所と両親は堀江しのぶに卵巣嚢腫と説明し、休業し帰郷させたという。しかし病状が改善するはずもなく本人は疑念を抱いた。そこで事務所は一計を案じマスコミを呼び『堀江しのぶ卵巣喪失 急減ダイエットの恐怖』という内容を4ページに渡って特集させ、これを見たしのぶは、自分は卵巣嚢腫だと改めて信じたという。それくらい癌であることはひた隠しにされたのだ。今では抗がん剤も相当進歩しかなり延命出来るようになった。だがスキルスを根治させるものはまだ出ていない。幸い、平成生まれの日本の若者のピロリ菌感染率は5%未満になった。スキルスを診る機会は相当減った。でもまだ年配者にはたまに見つかるし、番組ではピロリ菌とのからみを言って欲しかったナ。TVを見た人が早めに受診してくれたら助かる人が相当出てくるんだしー。
青雲の内視鏡室のスタッフに「堀江しのぶって知ってる?」と尋ねたらほとんどが知らなかった。我々世代にはスキルス=堀江しのぶって結びついているくらいだったが・・。スキルスで亡くなるひとが一人でも減って欲しいゆえに、堀江しのぶのエピソードはみんなもぜひ知って早めの検査を受けて欲しいと思ったことだ。
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