単に外来患者数が多い場合とそこまで多くはなくても重症患者がいて忙しくなる場合がある。今日は後者だった。80歳代後半の黄疸女性、60歳代の十二指腸潰瘍男性、そして極めつけは60歳代の妊娠8ヶ月の女性・・は?いや、診察に入って来た時にまさにそんな風に見えたのだ。ちょうどうちの病棟に妊娠8ヶ月の看護師さんがいるが体型がそっくりだった。数ヶ月前から腹部膨満があり、実家を訪れた息子が心配して連れてきて本人は体調は悪いものの「少し太ってきた」と思っていたそう。こちらは、これはただ事じゃないぞと直感し、採血と今日腹部CT、それも造影剤も使って行うことにした。
結果は予想を越えるひどさ、だった。全く病院に通ったことがなく、検診や健診も受けずに放置するとこんなにまで悪化するものなのか。完治は全く望めない。私は早くも緩和療法のことを考えていた。ただ病気の根源はどこにあるのか、輸血もしないといけないなどあり、明日にかけて検査をしていくことにした。その後近くの内科から「黄疸で高熱のある高齢女性患者を受け入れて欲しい」との依頼電話があった。どっと疲れた。普段なら受け入れるところだ。採血データなど聞くに急性の結石性胆管炎が考えられ、今日のうちにERCPをして減黄術を施す必要がありそう。しかし現状マンパワーが足りない。そのなじみの先生は「一旦今日入院して点滴、抗生剤などで明日減黄を・・」と提案してきたが、明日はすでに今日の重症患者の諸検査もあり「済みません・・」と断らざるを得なかった。そこで私は「鹿児島市内の〇〇病院がいいでしょう。直接消化器内科に連絡を入れ、もしもの時は私の名前を出して下さい。こてる先生がアドバイスしたと」とまで言って丁重にお断りした。
はあ、断るって嫌なもんだよ。でもはっきり断って良かった。午後は職員との面談などもあり、どうにも身動き出来なくなっていた。外来と救急当番をこなし、夕方になってほんの少し余裕が出来た頃、10歳代後半の下血女性患者が来た。緊急で浣腸後大腸内視鏡を組み、潰瘍性大腸炎や虚血性大腸炎などを疑っていたが、結局は「切れ痔」だった。これには患者もその母親も私もスタッフもほっとして笑いも出た。終わり良ければ全て良きかな。
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