2023年10月12日木曜日

藤井聡太全冠八冠制覇なる!

昨夜はAbemaTVで久しぶりに将棋チャンネルを見ていた。王座戦5番勝負第4戦で永瀬拓矢王座に藤井聡太七冠が挑戦し、藤井七冠があと1勝すれば王座奪取し、前人未踏の全タイトル八冠制覇するという大一番だったからだ。

20時ちょうどに見始めた時は将棋AIの評価は永瀬王座がやや有利の56%対44%の評価だった。ただ私は囲碁は打つが将棋は指さないので盤面を見てもさっぱり分からない。そのうち藤井七冠がやや有利になった(AI評価)。しかし20時半になった時点では50対50の全くの五分。そしてその後藤井七冠が優位になった。しかしその頃はお互い1分将棋になっていて1分以内に指さねば負けになる。そこでどうやら藤井七冠が失着したようで20時45分ごろには永瀬王座が85%の勝率になっていた。解説者は当然「永瀬王座に負けがない展開になった」と言っていて、次の藤井七冠の予想手はAIは4六金を推奨していた。「しかしそれでは藤井七冠は勝てない、逆に攻める手を指しそう」との解説で、このあたり永瀬王座の勝ちだが、果たして・・ということだった。そして20時47分に藤井七冠が指した5五銀、これはAIの予想には全くない手だった。先ほどの解説の言うとおり、このままでは負けとみた藤井七冠の勝負手だった。ただその評価値は一気に落ちて2%へ。つまりは永瀬王座がこの後正しく打てば藤井玉には詰みがあるということだ。AIの示す永瀬王座の正解手は4二金だった。

後で知るところでは4二金という手は奨励会の初段クラスなら見つけられるそんなに難しい手ではないらしい。当然その手は永瀬王座には分かっていた。しかし詰みきるにはいくつか悩ましい場面があり詰みきれないかもと思った(ようだ)。1分将棋の彼が指した手は5三馬。あれ、候補手にはない手だ。すると、AI評価が一気に藤井七冠に傾いたのだ。
将棋って怖い。勝ちの場面でも正解手以外だと30%から60%もマイナスになり逆転されてしまう。見てのとおり、2%だった藤井七冠の勝率は85%にもなり、2二玉という正解手を指したあとは99%の勝率で、すぐに悪手を指したと気づいた永瀬王座はその表情や所作にも後悔と落胆の様子がありありだった。
21時ちょうど、永瀬王座は「参りました」と投了した。すぐにNHKほか民放も速報が出た。この八冠同時制覇ってそれくらいの偉業だ。メジャーリーグでは言えば大谷翔平が三冠王と投手のサイ・ヤング賞と同時制覇するくらいに匹敵か(まず無理)。
今後この八冠を維持するためには全てのタイトル戦に勝ち続けなければならない。27年前の羽生善治は2月に全冠七冠制覇するもその年の棋聖戦で敗れすぐに途切れている。それ以降全冠制覇することはなかった。藤井聡太はまだ21歳で当時の羽生より若い。今後は勝って当たり前で失冠した時が大ニュースになるだろう。

ともかく将棋を知らない私でも生中継の1分将棋の攻防はハラハラドキドキで、将棋の魅力と怖さを実感できた1時間だった。

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