この番組で初めて知ったのがこの曲が1920年発表と比較的新しいということで、だいたいがクラシックって19世紀以前のものがほとんどでモーツァルト、ベートーヴェンなんて日本で言えば江戸時代の作曲家だ。それに比べ「ペルシャ」は大正時代にあたり、その時代に発表された特徴がでていることが番組の解説でよく分かった。イギリスではすでにレコードが発売されいてこれまでの重厚長大な音楽よりもレコードかけて気楽に楽しめる「ライトミュージック」という曲が流行っていた。この曲もその流れで作られ大ヒットしたという。
わずか5、6分の中にペルシャの市場での情景をまるで紙芝居を見ているように表現され、実際出だしが「らくだに乗ったキャラバンが近づいてくる」とか途中は「市場の大道芸人たち」など細かい場面設定が楽譜に書き込まれている。そして男声合唱がつくこもある有名なメロディー「♪ドードードー ラソラソミーミー ラーラーラー ソミソミレーレー」が何と「市場の物乞いたち」で物乞いのかけ声だったとは。一転して流麗な優しい曲調になりそれは「王女の到着」でいかにもそれらしい。接続部が「大道芸人たち」「へび使い」とこれまたいかにもだ。後半はそれまでのメロディーが再び使われ、王女が返り支度、キャラバンが旅に出るなどのタイトルがつけられている。それが分かって聴くとより楽しめると分かった。で、確かCDかiTunesの中にこの曲はあったはずと探すがすぐには見つからず困った。ともあれTVで聴けるのでじっくり聴いた。
ケテルビーは時代が時代ゆえに単純な作曲や演奏ではなくBBCのラジオ部長、レコード会社勤務、映画伴奏音楽の作曲、ボードビルショーの音楽監督といった仕事もこなしていた。もうクラシックの世界の話じゃないね。そして曲を聴いているうちに私はビートルズのアルバム「アビーロード」(1969)の後半のメドレーを思い出していた。あれも数分の曲をつないで優しいのから力強いもの、それに最初に出たメロディーが後で出てくるなどロック、ポップス界のアルバムに驚きを与えたのだが、あれ?それって50年前にケテルビーがやっているじゃん、ああ同じイギリスのレコード会社の作品だもんねってな具合に。ビートルズがアビーロードのB面でやったことはクラシックとの融合の意味合いもあったはず。後にクイーンが「オペラ座の夜」でロックとオペラの融合を試みたように違う物同士の掛け合わせで新鮮さを出そうとするのはいつの時代も変わらないってことだ。
この番組を見てからもう頭の中は「♪ドードードー ラソラソミーミー」が繰り返しリフレインされすっかりペルシャの市場に迷い込んでしまったみたい。そうそう、NHKは「ペルシャの市場で」とタイトルしていたがどうもしっくり来ない。普通「ペルシャの市場にて(In a Persian Market)」と訳すだろう。「で」より「にて」の方がたった1字のことだがストーリーを感じる。当然こてる日記のタイトルもそっちだ。
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