で案の定、今年もだった。黒色便があって血圧が100未満でふらふらしているという高齢女性が来ている、どうも消化管出血のようだというスタッフからの連絡があった。この人は過去に胃潰瘍出血を起こしたこともあり、ここは内視鏡検査が必要だろうと準備に入った。それでもまだ「午後の13時過ぎからの納め会にはどうにか間に合うだろう」と楽観していた。で、胃カメラのスコープを挿入すると・・胃の中は凝血でいっぱい、血だらけだった。十二指腸に挿入すると巨大潰瘍が球部から下行脚にかけて広がっている。あはぁ、これが原因かと内視鏡医なら誰しも思う。そこで洗浄をしつつ露出血管の場所を探したのだが・・どうにもはっきりした出血部位が見つからない。また胃にもどって観察するが血は多いものの潰瘍すら見つからない。しかし、新鮮血は十二指腸よりずっと多く見られる。どうも変だ。で、さらに食道に戻って観察すると・・真っ赤な血液がじわじわと湧き出ているようだ。その瞬間、原因が分かった。
食道静脈瘤出血である。
十二指腸潰瘍があって一瞬ダマされたが、この人は以前アルコール性の肝炎を起こしていたとのカルテ記載があった。肝炎が肝硬変になっていると食道静脈瘤が悪化し出血源になりうる。そこで水洗浄をしっかりすると、食道下部の静脈瘤が一部破れている箇所があり、そこが本当の出血源だった。すぐにスコープを抜去し食道静脈瘤硬化術の一つでEVL(結紮ゴムで出血静脈を絞扼止血する方法)を行った。静脈瘤出血の緊急止血にはこれが一番だ。
なぜか年末29日はこの手の入院が必要になるような吐血、下血患者が多い。それがなくても肺炎や心不全などで入院依頼が来る。近医クリニックも年末年始で経過観察ではなく病院に預けたほうが安心という判断かもしれない。実は止血処置をしている間にも北山の診療所から心不全で精査&治療が必要かという高齢男性も紹介あり、私は検査指示を出していた。すでに13時前で「こりゃ、また納め会には間に合わない。ラブカメ先生の1年を振り返るスライドには私は写真を毎回提供しているが最初から聴けることは滅多にないわっ」とグチってしまった。
しかし心不全は大したことはなく「どうにか自宅で過ごせそうです」となったから、途中から会出席は可能かも。静脈瘤患者さんの入院指示を出し終え、急いで昼食を摂り、30分遅れで会に参加出来た。やれやれだ。
しかしすぐには帰れず、入院患者の指示出しがあと少し。それに静脈瘤の患者さんは肝性脳症を起こす可能性が高く、血中アンモニア濃度の結果が知りたい。これは外注検査でしばらく結果を待つ必要があった。その間、書けずにいた昨日分の「こてる日記」をアップ出来た。こんな待ち時間は有効活用出来てよろしい。外注結果はやはりアンモニアが高く、改めて指示出しをした。それで昼過ぎには帰宅出来たはずが、夕方になった。でも、レセプトも済ませたし、今年の仕事はほぼ終わらせたし、年末年始はゆっくりと過ごせそう。ふわぁ〜、終わりよければ全てよしやぁ!
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