実はWBC観戦のせいで疲れがたまっている。野球も見るだけで疲れる試合があるって、これまでいくつかあった。その最初の体験は昭和49年(1974)の夏の甲子園、準々決勝鹿児島実対東海大相模戦だった。鹿実には投手定岡正二、相模には当時2年生の原辰徳がいた。まだ全国的にはそれほど知名度のなかった鹿実が前半に2点を取られた後、予想外の3点を入れ1点リードの場面が続いた。その頃の1点差は今よりもはるかに重みがあった。このまま鹿実が勝って準決勝に進めるでは・・との期待感と、もしかしたら逆転されて負けてしまうのではという緊張感とでTVの前から離れられなかった。
試合は9回2死まで行き、もう一息というところで東海大相模に同点にされ延長戦になった。鹿実が14回に1点取って今度こそ勝ったと思ったが、またもやその裏に同点に追いつかれた。その間、すでにナイター試合になってTV中継が終了してしまってラジオに切り替えたり、また世間がその放映中止に黙っておらず抗議の電話が殺到しNHKが教育TVでまた放送を始めたりとバタバタしたりもあった。確か19時は過ぎていたと思う。15回にまたもや鹿実が1点を入れ、さらに2点が入ったと思ったが、タッチアップが早かったとのアピールプレイが認められ2点目は取り消されるなど様々なエピソードのある試合だった。そしてとうとう15回裏の相模の攻撃を定岡が0点に抑え、5対4の3時間38分の長時間の試合は終わったのだった。当時の日記を取りだしてその日を見ると、こう書かれていた。
「やった!!やった!!オレは野球のドラマを見た、聞いた!!鹿実が延長15回5ー4で東海大相模を破り、ベスト4進出を果たしたのだ。9回14回に続く三度目の正直で勝ったのだ!!!」
やたら「!!」が多い上に、「破り」の表記を実は「敗り」と書いていた。まあ中学生らしいミスではあった。
興奮してそんな日記を書いたのは覚えていた。遅い夕食も摂ったはずだが覚えていない。そしてものすごい眠気に襲われそのまま寝てしまったのだった。目が覚めたのは翌日の午前10時を過ぎていた。びっくり。12時間以上も寝ていたことになる。若い頃をよく眠れるもんだ。で、起きて間もなく準決勝の第1試合対防府商戦が始まっていた。結果は9回裏にサヨナラエラーの1対2で敗れてしまった。昨夜からの興奮、疲労、落胆があっという間だった。翌日の日記には「・・・残念だ、無念だ!!」と結んでいた。
野球観戦であんなに興奮と感激と疲労感に見舞われたことはその後もなかなかない。長い高校野球観戦でいまだに私のベストゲームにこの試合を挙げるのはそういった理由からでもある。ただ、今回日記を読み直して気がついたのが、その日朝から映画を2本見に行っていた。ブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳」とチャップリンの「黄金狂時代」だ。なんか懐かしいし時代を感じる。午後は「夏休みの友」の社会を2時間ほどやったとある。その後で野球を見ていたのだ。そりゃ疲れるかも。
しかし今回のWBC、面白くしびれる試合が多く、心地よい疲労感の残るゲームが多い。明日は大一番の準決勝対メキシコ戦、どうなるかなー。
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