2022年6月4日土曜日

その交通事故が

土曜の私の外来のに付いたのは今年1月から職員になったフォチュマNsで、昼前のヒマな時間帯に何げなく「お子さんはいるの?」と尋ねた。年齢からして子どもの一人や二人はいそうだったからだ。しかし「いいえ」とのこと。「結婚、してるんだよね」と聞くと、それも「いいえ」で、ここまでやや遠慮がちに質問していたのに、急にぶしつけに「じゃー、離婚したんだ」と私は言ってしまった。それでも彼女は顔色を変えることなく「ずっと独身です」と答えた。「へーえ」

今週はヒマな1週間だった。そんな暇つぶしにしてはプライベート過ぎる質問にもフォチュマNsはちゃんと答えてくれ、「相手がいなかったわけではない」と続けて身の上を話してくれた。それによると婚約までしていた相手がいたという。「でも、なくなったんです。交通事故で」と。

お互い30代前半で、彼はちょっとメタボ気味になってきていたので自転車を始めたんだそうだ。それが曲がりの坂道をバイキングしている最中、背後から来た車にぶつけられ電柱に激突し即死だった。「この前、13回忌でした」「その後もまったく(結婚の)話がなかったわけではないのですが、どうしても比べてしまう・・」んだそうで、今では「もう結婚したいという気持ちは全くないです」とのことだった。

交通事故は韓ドラでは定番といえるイベントで、そのドラマのメインのイベントではなくてもサスペンス、メロドラマ系では大なり小なり物語の展開のために必ずと言っていいほど出てくる。交通事故さえなかったら彼女の運命や人生は全く違ったものになっていただろうし、この病院に勤務していなかったかもしれない。彼女の場合は韓ドラは見られないね。実際ずっと以前に冬ソナなど見たことがあったらしいが今では全くだそうだ。

ありがちなアクシデント一つで人生はかくも変わってしまう。人はそれを運命として受け入れざるを得ないのだろうが、できればドラマの中だけで終わって欲しいイベントと思ったことだった。

0 件のコメント:

コメントを投稿