2021年5月21日金曜日

ここであえて髙橋洋一を推す

経済学者で内閣参与の髙橋洋一氏が自身のtwitterでまたまた物議を醸し出しそうな発言をしていたらしい。新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言について、自身のツイッターに「欧米から見れば、戒厳令でもなく『屁(へ)みたいな』ものでないのかな」と投稿したとか。私はすぐに氏の言いたいことは分かったが、表現がまた現政権批判陣や一般の人たちに攻撃されそうでまずいんじゃないかなと思った。「さざ波発言」も納得のいくものだったし今回もよーくその意味を考えれば問題のないものなんだ。氏のYouTube「髙橋洋一チャンネル」を見ている人ならそう思うはずだ。

私はYouTubeで真っ先に見るのが氏のコンテンツで、それは政治経済系分野なのに他の凡庸なものよりはるかに面白いからだ。日本のコロナ対策の「緊急事態宣言」が他国の「非常事態宣言」ではないのは「実は日本の憲法に国民を規制する記述がなく憲法の権能を超えて法律で厳格に私権制限することが出来ない」問題を指摘しているんだ。そのため、東京都などが条例で超法規的措置といってさらに厳しい行動制限をやっていくのは憲法上問題があるかもしれないことも指摘していた。だから東京都はもし国民が違反しても「逮捕」はできず「罰金」くらいしか罰を与えられないのだ。5月19日のYouTubeで分かりやすくそのことを話している。→https://www.youtube.com/watch?v=fGRDt6XU0wo

そのように分かりやすく言えば済んだはずだが言い方がまずかったなぁ。後日「不適切表現を次に改めます。各位にお詫びします。 日本の緊急事態宣言といっても、欧米から見れば、戒厳令でもなく行動制限は弱い。下図参照(行動制限の他国との比較表が出ている)」と変更したが、結局5月24日に内閣参与を辞任した。現政府に迷惑がかかると思ったんだろう。案の定、立憲民主党などそこを突いて政府批判をさっそく始めていた。

憲法を無視して「超法規的措置」でいいんじゃないかという意見には氏は警告を発している。そもそも70年以上も何の改正もない憲法がおかしいんじゃないかという意見にも肯かざるを得ない。私はここで憲法9条のことを言っているのではない。例えば日本国憲法は今回のコロナのような事態が起きたときに国民に厳格な行動制限を守らせる権限を認めていないのだ。だから現状に合うように憲法の改正を一定期間経てば見直していけばいいのに、古い憲法が足かせになっているので解釈をし直しや超法規的措置を取ったりして対応している。

これらの問題を見るにつけ、『日本人とユダヤ人』(イザヤ・ベンダサン:山本七平のペンネーム)で指摘された「日本人は古い法律を変えようとしない」性質を思い出す。確か大宝律令がすでに古いものだったのに日本人は捨てずに対応を変えることで何百年も残っていた事実だ。他国が何十回も現状に合うように憲法を変えていくのとの違いよ。髙橋洋一氏はそこの問題を鋭く突いている。まあ、内閣参与は給料をもらっているわけでもないし分かりやすく鋭い論客として活躍するには辞めた方がいいんじゃないの。氏のYouTubeはそれほど面白く役に立つものが多いので今回の悪評に惑わされることなくみなさんにも勧めておきたい。→https://www.youtube.com/channel/UCECfnRv8lSbn90zCAJWC7cg/featured

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