病院でのリスクマネジメントというのは今では当たり前になっていてその基本的なことの一つに患者さんの名前間違いからくる事故を未然に防ぐというのがある。入院した患者にはリストバンドを着け何かことを起こすときには患者自身に名乗ってもらうなど間違いを防ぐようにしている。ここ10年くらいでこれらは普及し多くの病院で行われてきている。
この日入院させた患者は80才代の男性で仮に「山田正義」ということにしよう。この人が5階病棟に入った時にほぼ同年代の別男性患者に「山田武義」という人がいることに気付いた。これはまずい。その人も内科患者だしどちらも内視鏡を受けたこともあるし何か間違いが起こりそうだ。私は「正義」さんを4階病棟に転棟させるようマチルダ師長に頼んだ。すぐにはベッドが空かないというので明日にでも是非と頼んだ。こう言っている私ですら勘違いして「武義」さんのつもりで「正義」さんのことを看護師にしゃべったりしていたから。
翌日、「正義」さんは無事4階に移動した。やれやれと思っていたところ、院内メールで目童ナースから「山田義信」さんの件指示をもらいたいと連絡が来た。あれ?この患者、知らないな。名前で検索すると確かに4階にいる患者だが私の患者ではなかった。看護師の勘違いだろうとその旨返信した。案の定、済みませんでしたと返信が来たが、そこでハタと気づいた。実は4階にも似たような名前の患者「義信」さんがいて私の患者だと看護師が勘違いしたわけだ。
いやはや、よかれと思ってもこんな落とし穴があったとは!それにしても昭和一桁は義理や仁義や忠義を重んじる時代やったんだなあー。
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