2024年4月17日水曜日

「ルビンの壺が割れた」

一昨日、 YouTubeでミステリ系YouTuberのを見ていたら日本の「ドンデン返し」作品がいくつか紹介されていた。その中に宿野かほる著「ルビンの壺が割れた」というのがあった。

「ルビンの壺」とはよく錯視の例として出てくる壺にも見えるし人の横顔にも見えるという図形のことだ。その文庫本の帯には「日本一の大どんでん返しと断言したい」とある。最初にネット上で公開され話題になりその後2017年に単行本化、今は文庫本でも読める。で、一昨日ネット注文したら翌日にはもう届いた。早い。そもそもなぜこの本をセレクトしたかというと、他にも紹介されていた本に比べものすごく薄い本で実質150ページくらいしかなく簡単に読めそうだったからだ。実際、昨夜夕食後に読み始めたら1時間半ほどで一気に読み終えてしまった。

この小説はいわゆる書簡体小説と言われる形式で、最初から最後まで男女の文書のやり取りで終わる。といってもそこは現代に即していて、Facebookで30年ぶりに昔の恋人の名前を見つけた男性から女性にメールが送られるところから始まる。最初の数通は女性から返信はない。実はこの二人は結婚を約束しまさに式を挙げようとしていたのに、当日女性が現れずその後行方不明となっていたのだ。男性が年1回程度メールを送り3回目のメールを送った約2年後くらいに女性から返信が届く。メールの内容からして本人しか知り得ない事実が記載されており、女性は男性が学生時代演劇部でいっしょに活動した先輩であると確信が持てたからだった。

当然、なぜに女性が結婚式に現れなかったのかが気になるが、二人のやり取りは主に学生時代の演劇部での昔話がメインになる。男性には当時婚約者もいたのに徐々にそのメール相手の女性に惹かれていってという男女の恋愛話などだ。だが段々と話が「実は・・」といった驚きの展開になっていき・・最後は・・。

確かにドンデン返しだろうな。ちゃんと伏線もあって読んでいてある程度推測がつくところもあった。読みやすいし書簡体小説という形式も最近では新鮮だ。作者の宿野かほるというのは覆面作家でプロフィールなどいっさい明かしていないそうだ。単なる素人ではないだろう。面白くて読みやすいから誰にでもお勧めできるが、3年前にこの日記で書いた「どんでん返しミステリーと叙述トリック(2021/8/29)→https://koteru-nikki-2015.blogspot.com/2021/08/blog-post_83.html」でも触れたとおり、驚きはしても感動するかどうかは別問題だ。裏表紙が↓で読者の感想も添えられている。
読んで、「おしっこちびりそうになって」も私は責任は持たないけど・・(笑)。

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