私は文部省唱歌が好きで昔からレコード、CDなど買っては聴いてきた。最近はYouTubeで画面を見ながら視聴することが多い。
今の時期はなんといっても「朧月夜」だろう。作者は唱歌界の名コンビ、作詩が高野辰之、作曲が岡野貞一である。といっても知らない人がほとんどだろうが、唱歌中「故郷」「紅葉」「春の小川」「春が来た」「日の丸の旗」はこの両者によるものである。文部省唱歌は数あれどいまだに歌い継がれている6作品がこの名コンビによるものというのはなかなかに凄い。岡野貞一は「♪もーもたろさんももたろさん」の「桃太郎」も作曲している。戦前の小学唱歌というのは各学年20作ずつ120作も作られたがその大部分は今では歌われることなく消えてしまっている。このコンビによる作品以外では、先の「桃太郎」「鳩(ぽっぽっぽ〜)」「ふじの山(頭を雲の上に出し〜)」「かたつむり(でんでんむしむし〜)」「案山子(山田の中の一本足の〜)」「雪(ゆーきやこんこ)」「茶摘み(夏も近づく八十八夜〜)」「汽車(今は山中今は浜〜)」「虫のこえ(あれ松虫が〜)」「冬の夜(ともしび近く衣縫ふ母は)」「鯉のぼり(いらかの波と雲の波)」「海(松原遠く〜)」「冬景色(さ霧きゆる湊江の)」「われは海の子」あたりがまだ歌われているに過ぎない。
その中でも合唱、独唱ともによく歌われるのが「朧月夜」と「故郷」だろう。今回は時期的に「朧月夜」を語りたい。この曲はなんといっても歌詩が素晴らしい。1番ではイ行の2番はオ行の韻を踏み、特に2番は「も」の繰り返しで視覚、聴覚をすべて包み込む朧月夜の気分をやわらかく歌っている。国文学者であった高野辰之は長野県の出身だ。この曲も「故郷」「紅葉」も長野の豊かな自然を綺麗な大和言葉で表現している。下に長野の春の風景写真を載せておく。
見わたす山の端(は)、霞ふかし。
春風そよふく、空を見れば、
夕月かかりて、にほひ淡し。
里わの火影(ほかげ)も、森の色も、
田中の小路をたどる人も、
蛙(かわづ)のなくねも、かねの音も、
さながら霞める 朧月夜。
私も同意見
返信削除単純なメロディーほどきれいです
今回「朧月夜」の良さを特に感じたので日記ネタにしました。
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