カールが特に印象に残っているのは、半藤さんは昭和20年3月10日の東京大空襲で九死に一生を得た直後「自分はこれからの生涯、『絶対』という言葉は使わないぞ」と言ったことだった。世の中には「絶対」というものはないんだ。「絶対」に自分の家は焼けない、「絶対」に俺は人を殺さない、「絶対」に日本は負けない、「絶対」に原発は安全だ・・なんて言えないと。「そういうものは嘘だ」と。でも一つだけ「絶対」がある。それは「戦争だけは絶対に始めてはいけない」ということだと語っていたそうだ。
そうか、その最後の「戦争だけは絶対に始めてはいけない」と語っていたというのは初めて知った。私は以前、半藤さんを特集したムック本を買っていて、東京大空襲が半藤さんの原体験だというのは知っていた。つい5、6年前に取り寄せた本かと本棚から取り出してみると2009年発行で2009年9月26日に注文していた。人気があってすでに新刊では買えず中古なのに販売価格の倍の値段で買ったが買って良かった。その本には確かそんな言葉はなく、「戦争だけは絶対に始めてはいけない」は最晩年に出版した東京大空襲での体験を絵本にした中で語っていた。いかにも半藤さんらしい言葉だ。
最初私はカールから「戦争だけは絶対にいけない」と聞かされた。なるほどとは思ったが少し引っかかった。日本が敵国から明白な攻撃、戦争を仕掛けてられても「絶対」に戦争をしてはいけないのか?そうは言ってられないし反撃するのが当たり前だと思う。この日記を書くに当たってタイムシフトでこの番組を見直すことにした。すると、先に書いたとおり「戦争だけは絶対に始めてはいけない」が正しい表現だった。それなら納得だ。人伝えに聞くと間違って伝わる、いわゆる伝言ゲームだ。
ともかくもなかなかの番組で、私はタイムシフトから録画保存にすることにした。カールは「ああいう番組を放送するからNHKに視聴料を払ってもいいと思える」という。確かに!
(文藝春秋増刊「半藤一利が見た昭和」本を購入した経緯は12年前の「こてる日記」にちゃんと書かれていた。それが自分で読んでも面白かったのでこのブログで再掲する。→http://koteru-nikki-2015.blogspot.com/2009/09/)
0 件のコメント:
コメントを投稿