入院治療で改善し経過は順調であったが、実は赤痢アメーバ症は性感染症の側面があると言われている。特に男性同性愛者に蔓延する疾患として捉えられている。そのことを他のDrにも分かって欲しいと思いこの症例を選んだ。時にエイズも併発している場合もある。幸いこの患者さんはアメーバ以外の感染はなかった。ただ、同性愛者かどうかははっきり確認は出来なかった。デリケートな問題だからねぇ。東京の某感染症専門の科がある病院である3年間に診療した赤痢アメーバ症患者の半数近くが同性愛者と同定され他不明とされた人の中にもいるであろうとあった。同性愛での性行為(肛門性交)で感染しやすいわけでそこを指摘しておかないとまた再発するから医師としては本来確認する必要があるのだが・・。
赤痢アメーバ症はかつては発展途上国での経口感染が多かった。フジヤマのトビウオと言われ世界記録を更新していたかの水泳の古橋廣之進もヘルシンキオリンピックではいい成績を残せなかったが、実は遠征先でアメーバ性大腸炎に罹ったのも敗因の一因だったらしい。メトロニダゾールという薬が著効するのでそのころすぐに治療出てきていればどうだっただろうか。いや、考えだけムダなこと。今でいえば新型コロナなんて「〇〇」という薬で治るのに当時は特効薬がなかったから・・なんていうようなものだ。その時代その時代で猛威を奮う感染症があり、人類は常にそれとの戦いを続けていかないといけない。いつかコロナも「診断さえつけば治療は楽勝」って言われる時代になりたいものだ。
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