「辛いけど大丈夫?」少しすすって「うん、辛くて美味しいわよ」とギボヒサコ。だがその言葉に油断してはいけないことをカールは知っている。食べるのが人一倍、いや二倍も遅い上に、半分も食べないうちに箸が進まなくなっていた。「食べたくないなら残してもいいのよ」とのカールに「いや、食べるよ」とヒサコ。でもやはり箸は進まない。「もう片付けようか。大分残っているから後は残してネ」「いや、後で食べるさー」!!・・「後で食べる」はヒサコの口癖だ。カールの目つきが険しくなる。「後で食べるってそれはラーメンよ。何言っているの!」すでに水を吸って麺は膨らみ始めている。怒り気味にさっさと片付けを始めるカール。
まるで見てきたように私は書いたが「後で食べる」のやりとりは何度も見てきているからねぇ。ギボヒサコは相手の気に障るようなものの言い方をしないタイプ。「後で食べる」と言えば自分が悪いわけでもないし相手を傷つけているわけもでない。でもそれ真に受けると後でバカを見ると娘のカールはイラつくのである。
ずっと以前のこと、チッチが小学低学年のころだったかな、冬休みにジュニアパイロットで沖縄に行って大晦日をヒサコと過ごしたことがある。後で鹿児島に帰って「おばあちゃんおかしいよ」とカールママに言ったそうな。それは、ヒサコが年越しソバをカップ麺で代用して仏壇にお供えした(手抜き?)のだが、幼いチッチは食べ物をそこに置いたままなのが気になってお祖母ちゃんに聞いてみた。「それずっと供えとくの?」って聞いたら「後で食べるさー」と言ってて気がついたら翌朝になって麺が汁を全部吸ってたのだ。それをヒサコは食べたのか?否。何事もなかったようにそれは捨てられたのだった。幼な心にすごく印象に残ったらしい。「でも最初から食べるつもりなかったのかも(笑)その日他の店でいっぱいご飯食べてたからカップ麺なんて夜中に食べられないのになーって思ってたんだよねぇ」と最近のチッチの感想だ。
結論。ギボヒサコにとって「後で食べる」は「もう食べない」の別の類義語であった。
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