私は週刊誌なるもの買ったことはほとんどない。興味があってよく読むが「買ってまではー」と思う口で、病院の人間ドック用の週刊ポストや現代、文春、新潮など借りて読んでいた。その後、病院が文春、新潮を購入しなくなってポスト、現代にあとは全く読まない女性週刊誌だけになってしまった。院内で読む時間もあまりなくなり、ここ1年は1ヶ月遅れのポスト&現代を譲ってもらい、自宅で読んでいる。以前は若干現代の方が読み応えがあるように思っていたが最近は真っ先にポストから見るようになった。ポストの連載漫画の方が面白かったからだ。
国友やすゆき氏の「愛にチェックイン」は妻を亡くしたホテルマンが行く先々のホテルで自らは望まないのに美人でおっぱいのでかい女性と良い関係になってしまうという男の夢物語のような展開の漫画だった。
展開が面白くさらさらと読めるし、毎回エロいシーンが必ず出てきて読者サービスにも長けている。なぜかモテる主人公には一人の女性とのエピソードが何号か続くと一段落し、また別の女性との絡みが始まる。前回は沖縄のホテルの買収をめぐり女性社長に好かれたり、その前は仙台、広島いずれもとにかく女にモテまくり、今度は東京のようだが女性ロックシンガーになぜか「私を抱いて」と迫られる。しかし簡単に主人公は手を出さないのだ。女性ロッカーは迫った割には疲労のせいか主人公の胸ですやすやし、主人公は何もせず「おやおや」とその場を去るのだった。と、ここまで来てこの女性とのからみがまた始まるという時に、次号のポストをもらい読み始めると・・あれ・・?ない。「愛にチェックイン」がないんだ。おかしいなと思って目次を見ると、何と「休載」になっていた。
最初は原稿落ちでもしたのかと思った。しかしその次号も休載でこれは病気で入院でもしたんだなと推測した。確か御年65才と聞いているので病気もするだろう。気になってネットで国友さんの記事を調べてみたら・・・。げっ!なんと9月20日に亡くなっていたではないか。あらら・・女性ロッカーとはついにチェックインすることなく主人公もポッと消えてしまったよ〜。8月31日号より休載していたので実際には8月半ばには入院していたのかもしれない。ポスト側も回復の可能性もあるとみてか終了とは書かず休載にしていたのか。ネットで調べるともともと「愛にチェックイン」で筆を置くと宣言していたようで、となれば癌かなにかでこの先長くないと思っていたのか?さらに調べてみる。
どうも1年前のインタビュー記事を読むと、65才になってもバンドやったり芝居書いたり他にもやりたいことがあってまだまだこれからって内容だった。仕事も漫画の画材をデジタル化して数人のアシスタントは遠方にいて手伝いネットでやりとりする。背景は「室内」「街の風景」「アパート」などと分類したんだそうだ。本人によると「背景画を少しずつ取り込んで、分類してインデックスつけて。それで指示してるんですよ。高解像度で取り込んで、指示はサムネイルで出す、というやり方。「街の風景Aの3番」とか。そうするとスタッフがアーカイブからひっぱってきて、「夜」って指定してあると夜にする、反転してといったら反転する。だからスタッフは線から描かなくていい。引っ張ってきて貼り込むだけ。もちろん全てではないけど、相当負担は減ります。・・人物は線画で描いたところで取り込んじゃうんですよ。それで<主人公右顔><左顔><全身>とかって分ける」などと解説している。福岡の東筑高から早稲田大を出て漫画家になるだけあって、かなりの合理主義者で、こうやって自分のやりたいことの時間を作っているんだという。
そうか、きっと予定外か予想外に病気が重かったんだろうな。気楽に読めて楽しいひとときを漫画で提供してくれ、私も漫画の力ってやっぱり大きいなと思っていた矢先だったのにー。ご冥福をお祈りします。
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