今日は午前外来、午後は福岡に新幹線で行き、薬品会社主催の講演会を聴きに行った。都会での講演会はたまにMRから誘われてもなかなかスケジュールの都合がつかず年の1回か2回くらいしか行けない。今回はたまたま合った。
外来で、ある中年夫婦が先月採血をしたにも関わらずまた採血をしてほしいという要求があった。夫は高血圧、高コレステロールありすでに内服している。やや肥満気味の妻はコレステロール高いが何も治療をしていない。夫は採血は正常。コレステロールに良く聴く薬を飲んでいる。で、今月はまた採血するほどでないが・・。すると、看護師情報で「何でも健康食品を飲み始めてその結果を採血で知りたいんだそうです」と聞き、ニヤッとして私は承諾した。「桑の実を100%凝縮した天然ものらしいです」「へーー」とますますニヤリ。
4、50分後でてきたデータを見て私は一人合点した。二人の採血データは全くといっていいほど変化はなかった。当然だ。桑の実が100%だろうが「太陽の恵みをギュッと凝縮した天然もの」だろうが効くはずがない。効けばすでに薬品会社が薬剤化しているだろう。そのことを伝えると二人はすこし落胆したようだった。「それでその桑の実はいくらくらいするんですか」と聞いた。1瓶で3、4千円はするらしい。「それよりも確実にコレステロールを下げる薬が1ヶ月で2千円、保険がきくから3割で600円程度で済むんですが」と説明すると観念したように「ええ、飲みます」と妻は承知した。副作用も無い代わりに効きもしないケンコー食品を宣伝文句に乗せられて手を出す人の多いこと。製薬会社のあからさまな宣伝ができないのをいいことにケンコー食品会社は言葉巧みな宣伝文句で人の気を引く。一般大衆の我々は無駄な金と手間をかけぬよう気をつける必要がある。だいたい月に5千円以上するものは手を出さない方がいい。私はそれでも高すぎると思っている。普通の「食品」にそれだけ払えるかと思えばいいだけのこと。効き目はないと思えば1銭も払いたくないというのが本音だ。
妻には来月また採血するよう勧めた。コレステロールが正常化して私の言ったことを実感するはずである。
(福岡での講演会の話しはまた明日)
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