患者さんやドック利用者らと病状以外に会話することがよくある。もともとおしゃべりな私ゆえそれは嫌いではない。
初めてお会いするドック利用者の名前をみて思わず「ずいぶん、山っぽい名前ですね。お父さんが山好きなんでしょう」と声をかけた。名前が「大山岳雄」。しかし違った。「いいえ、海が好きでした。なんっといっても漁師でしたから」ぎゃふん。
同じくドック利用者で某薬局勤務の30代女性に「体重が増えたり減ったりしてますね」これに「太り気味だった頃にうつ病になってしまって・・ほとんど食べられなくなり15kgも痩せて、職場の人間関係もあったので別の系列の薬局に代えてもらいました」とのことだ。少し体重も戻ってきたがそれでも以前よりは少し痩せていた。「今の薬局の隣のクリニックの無精Drが丁寧に診てくれています。院長のヨッシー先生は『XXちゃんそんなに悩まないで空をみてごらん』とだけしか言ってくれなくて・・」とこぼしていた。へーえ、ヨッシーDrは知っている先生だがそんな指導をしているのか。患者さんは不満のようだがユニークで面白い話しと思った。
でも、何といっても今日のユニークかつ最大、最笑の患者の話題はタイトルにあるとおりだ。それは内科の村紘Drが腹痛患者を診てくれとクニンダDrに依頼したところから始まった。村紘Drが早々に手放したのには訳があった。クニンダDrは腹部レントゲンに腹部CTを撮り、私に相談に来た。
「先生・・変態患者なんですが」といきなりこう切り出したのだ。「え、変態?」「どうもですね、お腹に風船が入っているらしいんですよ。CTとレントゲンを見て下さい」「ほう」
見ればS状結腸のあたりに確かに風船の膨らみと思える所見がある。しかしそれと知らなければ妙に拡張した大腸があって胃も小腸もやや圧排されているあまり見かけない所見で「これは何?」と頭をひねりそう。その人は中年男性で問診の時に医療秘書を迷惑そうな目で見て村紘Drに小声で「お腹に風船が入っていて痛いんです・・」とささやくように告白したんだそうだ。これを聞いて私はははあと合点がいった。肛門を刺激することで快感を得る人たちがいるのだ。去年も60代男性が透明キャップを入れて取れなくなりあれは緊急手術になった。プレイするのは勝手だが極めて危険な行為だと認識してもらいたい。このまま放置すれば腸閉塞が治らず死ぬ・・江戸時代なら手術も内視鏡もできないからそうなっていたはずだ。クニンダDrが「風船は弾かせて摘出しますか」と聞いてきたので「いや、把持鉗子で割らずに引き抜いてみて」とアドバイスした。
透明キャップやミニビンと違って風船はそう難しくはないだろう。以下、画像を供覧する。(本当は動画撮影なのですがアップが現在できないので静止画になります)
↑S状結腸内にあった白い風船
↑結紮部を把持鉗子でつかみ引き寄せます
↑肛門から出てきたものを助産婦さんよろしく引き出します
↑無事に割らずに取り出せました
↑長さ26cm、直径8.5cmほどもありました
↑「お持ち帰りしますか?」には「いいえ」だったそうです
終わって私がいろいろ質問したかったが別の外来患者診察があり、クニンダDrやシホねえNsらに任せた。結局、だれも「なぜ風船を入れたのか」「どのように肛門から入れたのか」という二大関心事質問をしきれなかった。私だったらあの手この手で尋ねたのだがなぁ。残念。
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