(なにもできずBTQ。明け方寒くて床寝から醒めた。日記書けるほど集中力なくまたダラ寝・・ああ)
昨今は検査や手術など何をやるにしてもインフォームドコンセントといって説明と承諾を得てからでないと医療行為はできない。それはもちろん結構なことなのだがたまには医師の判断を優先し患者、その家族を説得してでも行為を行わないといけないケースもある。
この前、近医からの紹介で貧血の高齢女性を胃カメラすることになった。胃や十二指腸は特に問題なくそのまま診察した外来Drに返すこともできたが、貧血のパターンからして消化管出血が疑われ残る大腸に癌がある可能性が高いと私は思った。で、腸管洗浄液を処方し急遽大腸内視鏡を指示した。しかし排便が思うように進まず夕方5時を過ぎても完全には腸管がきれいになっていないとのことで朝からずっと付き添っていた息子氏は「もう帰らせてほしい」と多少いらつき気味に訴えてきた。気持ちは分からないでもないが私はねばった。「ここで検査せずに帰っても何も解決しない。大腸癌の可能性もあるから多少便が残っていても検査を受けるべき」と。それに胃カメラの後、腹部CTも指示し、どうもS状結腸あたりに癌がありそうとふんでいたのだ。
検査では実際残便が多くジェット送水で洗いながらS状結腸に挿入すると全周性のS状結腸癌が現れた。やっぱり。本人には告知はせず息子氏に大腸癌で便も詰まりそうなくらいだ、手術が必要と説明した。患者は翌日当院外科に入院し1週間もしないうち手術を受けたのだった。そこで誰からかだったか「息子さんが先生に感謝していましたよー」と聞いてはいた。で、今日、その息子氏から感謝の手紙が届いていた。
「(前略)・・お袋の便がなかなか全部出し切れなくて、素人の私が帰ろうと言いましたが、こてる先生が無理にでもと浣腸で一部出しましてその時S状結腸ガンという事がわかり、あの時こてる先生が止めてくれなかったら数ヶ月後にはお袋は苦しみ亡くなったと思います。本当にこてる先生には感謝しております。(中略)感謝、感謝の言葉しかありません。これで、お袋が亡くなったと思っても悔いはないです。本当にありがとうございました。」
ふむ。息子氏が目の前のきつさだけで判断したのは本人も言うとおり「素人」だから致し方ない。でも「玄人」は全体を俯瞰し判断するので「素人」の主張を却下し説得する場合もある。まあ当たり前のことをしただけに過ぎず、そこまで感謝されるとは。そこが少し意外で驚きでもあった。と、いうことで日記「寝た」にもなった次第。
0 件のコメント:
コメントを投稿